イ 具体的な事業
以上のような、取組方針を基にもっか具体的な形で進められている重点事業には、以下の4つがある。
第1に、日本政策投資銀行等の融資制度による屋上緑化の推進がある。これは良質な都市環境の創出のため、建築物の屋上に一定規模以上の緑化施設を設ける場合、日本政策投資銀行等からの低利融資による支援を行うものである。
第2に、住民参加による「平成の森」づくり事業の展開がある。住民参加による既存緑地の維持・保全活動を推進するため、保全活動の情報の蓄積・提供や指導者の育成・登録等の支援を行うものである。また、地球温暖化対策としての都市における緑の重要性について、住民の意識の一層の高揚、啓発を図るとともに、新たな樹林地の創出を図るため、住民の参加、協力によって更地から樹林地を創出する都市公園の整備を行うものである。
第3に、緑化重点地区整備事業の拡充がある。これは、緑のまちづくりの拠点として整備している緑化重点地区において、「地球温暖化防止の観点から緑化を重点的に進める地区」を位置づけるとともに、対象事業の中に永続性が担保される都市公園以外の公園緑地の整備等を行うものである。
第4に、環境事業団による地球温暖化対策緑地事業がある。これは、廃棄物最終処分場跡地等において、環境事業団が地球温暖化対策の観点から緑地の持つ機能に着目して、植樹等の整備事業を実施するものである。
(2)緑化によるC02吸収・固定の前提
緑化によるC02吸収・固定を想定する場合、単に樹木等を植えるということだけではなく、その効果をより高めるためには、いくつかの条件を整える必要がある。つまり、端的に言えば、樹木に期待するのであれば、以下に述べる6つの条件を最低限守らなければならない、ということである。
そこで、次にこの点を概略的に述べ、その上で、本論のテーマである「廃棄物の最終処分場を緑化したらどうなるか」を紹介したい。
第1の条件は、緑化材料である樹木等の健全な生育である。ここで意味することは、緑化材料である樹木等が生物として健全に生育することによって、初めてCO2の吸収・固定源としての効果が発現することである。要するに、樹木が健全に育成していることがCO2吸収にとっての原点であり、健全でなければ吸収できないことをまず理解すべきである。
第2は、樹木等の生育を支える基盤である土壌条件である。樹木等が健全に生育するためには、その生育を支える基盤の土壌条件を整えることが必要である。都市では、樹木等が健全に育つに適さない土壌が多く、そのような場所をいかに改良して樹木が健全に育つような基盤にしていくかが重要となる。