したがって、オランダのABCポリシーに倣って、むしろ鉄道駅近傍に誘導するか、場合によっては、新駅を設置することを前提にする場合に限って許可を与えるなどの方策が必要である。ドイツ・オランダでもこうした誘導が施されるようになってきており、ドイツのオーバーハウゼンなどでは、都心に近い鉄道中央駅からから2?離れた旧製鉄所跡地に建設された副都心大規模ショッピイングセンターの整備と同時に、鉄道中央駅からLRTとバス併用の専用軌道を建設していわゆるTOD開発を実施し、車利用を減じる方策も採っている。この方式は、我が国でもいくつかの都市で導入する可能性があると思われる。
ウ TOP(Transit Oriented Polis)プロジェクト構想の推進
TODに基づく郊外開発を進める自治体に対して大幅な助成金を付ける制度が必要である。TODを推進する強力な手段として、例えば、通産省により打ち出されてきた新産業都市や最近ではテクノポリス構想などのプロジェクトに倣って、国土交通省の最初の大型プロジェクトとして、トランジット・ポリス(TOP: Transit Oriented Polis)プロジェクト構想を推進する都市を指定していくことも有効であろう。
(4)交通に関する施策
ア P&R・C&R施設充実とバスのUp-grade
大きな交通需要が発生するコリドアには、鉄軌道系システム(都市規模によって、地下鉄、LRTなど異なる)を整備して車から転換させるのが有効である。そのためには、駅にP&R(パークアンドライド)、C&R(サイクルアンドライド)の施設を整備する必要がある。それとともに、バスの質を格段に上げることが必要である。すなわち、低床式で、ファッショナブルでデザインの優れたバスが登場しないといけない。今のバスでは、全くと言って良いほど魅力がない。
イ ITSの活用
ITS技術は、急速な勢いで進歩している。例えば、P&Rへの応用として、ドイツのシュトゥットガルトで実施されているダイナミック・パークアンドライドと呼ばれるシステムの導入があげられる。これは、鉄道と道路が都市の放射方向に並行して走る地域に有効で、都心方向に走る車が、時々刻々の都心側の渋滞情報を受信しながら、沿線に複数あるP&R駅のどこで乗りかえるのがその日のその時間帯で最適であるかのを判断できる情報を提供するシステムである。
ウ 「会社一括後払い定期券方式」による時差・裁量時間勤務制の推進
公共交通経営における最大の問題の1つは、ピークロードに対応するための投資が過大な負担となることである。今日に至って、都市地域では、鉄道もバスもほとんどすべて磁気の自動改札機を設置している。