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4 試算

(1) 分析対象とする自治体

まずはじめに、ここでサンプルに用いる自治体について説明しておこう。ここでは、東京都(ただし伊豆・小笠原諸島を除く)、埼玉県、千葉県、神奈川県という首都圏の全市町村を分析対象とする8。データの利用可能な市町村の数は全部で257である。しかし、前節で説明した高齢者ケア・サービスの目標水準に充てる被説明変数のデータを眺めてみたところ、一部の自治体でそこがブランクであったり(数字が示されていない)、あるいはゼロの数字が入れられているものが見受けられた。このゼロという数字については、それが本当にサービス・ゼロという目標値を意味するのか、はっきりした数字がないためにゼロを入れているのかを判別することができない。そこでそうした自治体については分析対象から除外することにした。したがって、以下の試算では、いずれの場合でもサンプル数は257を若干下回る250前後になっている。

 

(2) 試算結果

ア 予備的検討

以下では、前節で提示した基本モデルに対し上述した自治体データを適用させ、回帰分析した試算結果を紹介していく。表3〜表6が4つの被説明変数についてのそれぞれの推定結果である。説明変数の選択は、事前に相互の相関係数を調べて、相関の高い変数どうしを同時に含めないよう配慮して行った(9)

またその際、高齢者ケア・サービスに対するニーズ要因として考慮した4つの変数、つまり高齢者数に占める1]施設入所者比率(ROLD1)、2]寝たきり老人比率(ROLD2)、3]要介護痴呆性老人比率(ROLD3)、4]在宅虚弱老人比率(ROLD4)の間にも、相互に相関があるのではないかと予想して相関係数を調べてみたが、それら4変数の間ではほとんど相関がみられなかった(10)。このことは、自治体間で高齢者に占める寝たきり老人や要介護痴呆性老人の比率が微妙に異なっていることを意味しており、そのこと自体も1つのファクト・ファインディングである。いずれにせよ、推定に際しては、それら4つの変数を同時に考慮していく。

 

 

 

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