日本財団 図書館


第1章 政策評価 ―新たな公共管理(New Public Management)―

 

1 はじめに

 

我が国社会経済の情報化の進展は、各分野における情報の非対称性の解消を推し進め、より効率的な施策の展開を促す方向にある。また、右肩上がりの成長が終焉し、少子高齢社会となった今日、限られた政策資源によって様々な行財政需要に臨まなければならない。

このような状況の下で、地方公共団体においては、何をなし、なさざるべきか、その選択が重要な問題として浮上してくる。その判断の誤りは、全体が成長していた過去と異なり地方公共団体間の違いとなって現れてくる。

限られた政策資源を有効に活用するためには、政策の優先順位を的確に決めることが不可欠である。情報化の進展に伴い、情報公開は容易なものとなり、政策の優先順位について議会や住民など外部に説明することが行政に対して一層求められることとなる。その政策判断について客観的で、有効な手段となりうるものが「政策評価」とされ、諸外国や多くの地方公共団体において、様々な取り組みがなされている。

本章では、こうした潮流の中から、英米にみられる新しい公共管理(New Public Management)の考え方と政策評価の体系、現在の地方公共団体における政策評価の現況を紹介し、政策評価の手続きから地方公共団体の組織のあり方に至るまで、政策評価に関する諸課題を検討、提示する。

 

2 政策評価と新たな公共管理(New Public Management)

 

New Public Management(以下、NPMという。)は新たな公共管理の考え方である。この考え方を見ながら、その中心を構成する「政策評価」のあり方について検討する。

 

(1) 新たな公共管理の特徴

以下に英国及び米国における行政改革を支えてきた考え方であるNPMの特徴を従来の行政管理論と対比して示す。

それぞれ各項目、1]:NPMの特徴、2]:従来の行政管理の特徴を示す。

 

ア 専門性重視

1] 行政においても、経営は経営のプロによって行われるべきである。したがって、ジェネラリストが経営を行うのでなく、民間の経営者がキャリアシステムの横から登用されることがある。例えば、英国では、日本でいう課長級以上の3割は、その組織以外からの登用。

2] 従来の行政管理では、ジェネラリスト優位の行政官が行政を管理していた。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION