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○京成押上線鉄橋の満潮時の水面上高さが約3mであり、船舶航行の障害になる。(ただし、同鉄橋は現在架け替え工事が実施されており、工事が終了すれば全区間で4m程度の桁下高さが確保できる見込みである。)

○河口から35km地点の秋が瀬取水堰まで4m程度の水深が確保されているが、部分的に浚渫が必要である。

また、旅客船については、利便制の面から陸上バスと同様にターミナルなどの建物の中から直接発着できることが望ましい。しかしながら、護岸や岸壁から建築物の中まで水路を造成した場合、現行制度上ではその水路面積が建築物の建蔽率や容積率の算出基礎に含まれない。そのため、既存の建築物では実現不可能である場合や、新築の建築物でも経済性の面で不利になる場合もあり、陸域の土地利用面での規制緩和が望まれる。

なお、現在造船事業所の造修用乾ドックは固定資産税納入の対象となっており、この点から勘案すれば、現行制度内でも開削した水路を便宜的に土地として解釈できる可能性は残っていると考えられる。

 

2) 「アクアバス・システム『ロロ』」と「ヴァポレット(水上バス)システム」の開発とMM21地区でのパイロット事業

 

1] アクアバス・システム『ロロ』

 

「アクアバス・システム『ロロ』」(以下、ロロという)は、低重心の低床式専用路線バスを、既存のターミナル駅などを起点として、最寄りの岸壁や護岸から専用RORO船にロールオン・ロールオフさせ、目的地付近まで交通渋滞のない河川、運河などの水上を移動するシステムである。(図4-3-5参照)

ロロは主に以下のものから構成されている。

○低床・低屋根・低重心の専用路線バス

○同バスを1台搭載可能な専用RORO船

○同バスを専用RORO船にロールオン・オフ可能な浮体式専用バスランチャー

ケーススタデイとして、「浜松町駅、品川駅」と「晴海、お台場」のバス停を結ぶ路線について採算計算をしたところ、事業が成立するかどうかの境界線上であるという結果が出ている。

 

2] ヴァポレット(水上バス)システム

 

ヴァポレット(水上バス)システム(以下、ヴァポレット)は、GPSによる高度自動運航システムを持った、河川・運河・港湾などの平水面を運航する新水上都市交通システムである。(図4-3-6参照)

同システムは、主に以下のものから構成されている。

○自動衝突防止装置などの安全装置と自動運航・自動離着桟のための自動制御装置を装備する専用水上バス(ヴァポレット)

○専用浮体桟橋式バス停留所(ポンテイーレ)

○GPS等による精密測位などヴァポレットの高度な制御を行う運航管理センター

ケーススタデイとして、横浜MM21地区と新港地区の間にある運河を対象として採算計算をしたところ、運航採算性は良好であるとの結果が出ている。

 

 

 

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