こうしたことから、患者の流れは比較的順調であり、平均在院日数も23.8±22.3日と成人を対象とした一般病院よりも短いのが特徴である。
対象は、当院内科で訪問診療・看護を受けている被介護者の家族で、平成11年7月の時点で半年以上にわたり常に患者の介護にあたっている主介護者31名である。
方法では、主介護者については年齢、性別、被介護者との続柄や人間関係、職業・同居者・副介護者・経済的余裕・趣味活動・息抜きの有無、健康状況、介護期間、さらに、Zung Self-Rating Depression Scale15)(以下SDS、自己評価による抑うつ尺度で抑うつ気分、日内変動、疲労感などの20項目からなり、39点以下を「正常」、40〜47点を「軽度うつ状態」、48〜55点を「中等度うつ状態」、56点以上を「重度うつ状態」と判定)、精神的健康度16)(精神健康調査票日本語版12項目:General Health Questionnaire 12、以下GHQ12、12項目からなり、それぞれ0:できた〜3:全くできなかったまでの4段階で評価、精神的に不健康であるほど高得点になるように配点、本調査では採点法0-0-1-1を用いたので総得点は0〜12点)、介護負担度(Zarit17)による負担度スケールで身体的負担、心理的負担、経済的困難などを総括した22項目からなり、それぞれ0:思わない〜4:いつも思うまでの5段階で評価、0〜88点に分布するようになっており、得点が高いほど介護者の負担度は大きいと判定)、主観的幸福感12)13)についても調査した。
被介護者については年齢、基礎疾患、ADLの程度(江藤ら18)による老年者のADL評価項目と判定基準、基本的ADL、手段的ADL、コミュニケーションADLを含む20項目からなり、それぞれ全介助0〜完全自立3までの4段階で評価)を調査した。
結果は平均値(最小-最大)で表し、統計学的処理はSPSS6.114)を用いたコンピュー夕により行い、比較検討にはMann-Whithey U検定およびSpearmanの順位相関係数を使用し、危険率10%未満を傾向あり、5%未満を有意差ありとした。
III. 結果
A. 疫学調査
1. 対象の性別分布
野村町在住の3,432人のうち地域に在住する2,804人(81.7%)より回答を得た。そのうち介護に関する回答不備のために除外された残り2,409人(70.2%)、男性1,001人、女性1,408人が分析可能であった。