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まえがき

 

国際航空機関(ICAO)が推進中の新航空保安システムにおいてはGPS衛星を核とした航法が推進されている。一方、航空機の航法においては高い安全性を確保するために、その航法要件である完全性、精度及び利用性/継続性に対して厳しい性能が要求されている。GPSは単独航法では前述の民間航空機の航法要件を十分に達成出来ないため、それを満足させるための補強システムを含んだ航法システム全体がGNSS(Global Navigation Satellite System)である。

特に、航空機の精密進入着陸運航用のGNSSはGBAS(Ground Based Augmentation System)と呼ばれており、カテゴリーIレベルの精密進入の国際技術標準は、1999年4月にICAOのGNSSパネル会議で最終案が承認され、2001年の春、遅くとも11月までに正式に発令できる様、基準案の検証を主体にした審議が現在ICAOで行われている。

更に高カテゴリーの精密進入にはカテゴリーI精密進入に比べさらに高い航法要件性能が要求される。その達成には空港に設置した疑似GPS衛星というべきシュードライト(Pseudolite)の適用が有望な方法として提案されている。なお、ICAOにおけるカテゴリーII/IIIの国際技術標準の作成と承認には、ICAOにおいて今後数年間の審議がなされるものと考える。

本研究開発の目的は、シュードライトの開発及びその性能の評価・検証を行うものである。さらにその開発結果は今後ICAOで審議される高カテゴリー精密進入の国際技術標準作成のため評価・検証にかかわる情報としてICAOに提出し、技術基準作成促進の上で国際貢献を行うことが期待されている。

昨年度は、シュードライトのシステム設計、基本設計及びハードウェアとしてRF部の製造を実施した。本年度は、主に送信信号生成制御部の製造及びシュードライト性能評価の方式策定を実施した。本報告書は、今年度の成果をとりまとめたものである。

次年度以降については、シュードライトシステム全体の完成及び装置単体と総合システムに対する機能・性能の評価・検証を行う。

 

平成12年3月

(財) 航空振興財団

地上疑似衛星を用いた精密進入援助システムの開発委員会

委員長 水町守志

 

 

 

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