D.2 海外におけるデータ通信活用動向
ここでは海外におけるデータ通信活用動向として、1]米国におけるデータリンクサービスの現状と、2]欧州(ノルウェー)におけるヘリコプタADS(M-ADS)の現状について調査した結果を示す。
D.2.1 米国におけるデータリンクサービスの現状
日本では航空機用データリンクサプライヤーが限定されているが、小型機運航が盛んな米国では複数のデータリンクサプライヤーがサービスを提供している。
表D-5に米国のデータリンクサプライヤーの一覧表を示すが、表から判るとおり、
・各サプライヤーが独自のサービスを提供している点
・ローカル(地域的)なサービスエリアでも成立している点
等が米国における特徴である。
・サービスの種類(データのみ提供/データ・音声両方を提供)
・帯域(最小2400bps〜最大31.5kbps)
・サービス方式(リクエスト・リプライ型/ブロードキャスト型)
・サービス価格
などサプライヤー毎に様々な組み合わせでサービスを提供している。つまり米国の運航者は複数のサービスプロバイダが提供している多様なサービスメニューを選択肢として与えられている。
一方、サービスエリアを見ると(最終的には全てのサプライヤーが全米展開を視野に入れているものの、国土規模を考慮すると最初から全米展開は困難であるため、地域的なサービスエリアでサービスを開始している例が目立つ。
このような複数のサービスプロバイダが日本で成立し得ない原因としては、
・運航者(特に小型機運航者)数が米国に比較して圧倒的に少ないため、市場としての魅力に欠け、民間企業が参入し難い。(サプライヤー側の問題)
・特に「運航管理」に係る通信内容であれば無線局免許などの電波法上の制限が厳しく、運航者が各種データ通信端末を簡単に導入できない。(ユーザー側の問題)
などが考えられる。