3.3.2 伝送遅延時間
(1)算出方法
(a)伝送遅延時間算出の対象
飛行評価試験で機上・地上評価装置間で送受信したメッセージの中で、伝送遅延時間の算出においては、
・アップリンク: 位置通報リクエストを除く全てのメッセージ
・ダウンリンク: 位置通報レポートのみ
のみを計算対象とした(表3-21)。その理由は以下のとおり。
・位置通報(ADS)についてはACARS通信部で自動的に対応するため、データ処理部にADSに関する情報が記録されない。そのため位置通報リクエストについては機上評価装置において受信時刻が記録できない。一方、位置通報レポートについてはメッセージ内にレポート作成時刻が記録されるため、伝送遅延時間算出の対象とした。
・出発時刻通報については、離陸前に送信操作を行い、通信可能高度に達した(名古屋RGSとリンクが確立した)時点で送信される。そのため送信操作を行った時刻と実際にメッセージが送信された時刻との差が大きい。
またアップリンクメッセージについては、送信処理を実施した後の応答により表3-14のように分類される。伝送遅延時間の算出においては「正常到達(応答なし)」のみを対象とした6。
6機上評価装置には「NO ACK(到達)」「Uplink Buffer Full」のメッセージも実際には到達しているが、前者は、RGSからのアップリンク再送が発生しており遅延時間が極端に長いこと、後者は機上評価装置で受信を拒否しているため受信時刻が記録されていないことから対象外とした。