序章 調査研究の概要
第1節 調査研究の目的と内容
近年の地方公共団体の情報化の動向をみてみると、パーソナルコンピュータの利用台数や団体数は年々増加してきており、庁内LANによるネットワーク整備についても着々と進んでいる。
これに伴い、行政内部も従来からの集中処理による事務処理の効率化・省力化にとどまらず、ネットワークを活用することにより、それまで部署内のみにとどまっていた情報を共有資源としてネットワーク上で一元管理して有効活用するなど、情報の高度利用が図られていくものと考えられる。
このように今後、地方公共団体の情報化・ネットワーク化がますます推進される中で、情報化に対応するための人材の育成が急務とされてきている。
こうした環境の中において、地方公共団体の情報リテラシーに対する取り組みは、情報管理主管部門の職員にとどまらず、首長や管理職をはじめ、全職員にとって必須なものになると考えられる。
そこで本調査研究では、社会全体での情報化人材育成の重要性やネットワーク化が地方公共団体に与える影響を明らかにし、高度情報化社会における地方公共団体職員に求められる情報リテラシーを整理した。
その上で、地方公共団体職員の情報リテラシーを向上させる方策として、集合研修やOJT(On the Job Training)及び今後、新しい可能性を秘めていると思われるネットワークを利用した新しい研修の各特徴を把握するとともに、各研修手法に適用される研修内容を検討した。また、今後の研修の考え方として三つの研修手法を組み合わせて、より効果的な人材育成が行えるよう統合的な研修の在り方について整理した。
更に、ネットワークなどを活用して情報リテラシーを向上させている地方公共団体を中心に、各団体における情報リテラシーの考え方や目標及び育成状況、今後の展望について事例をまとめた。
最後に情報リテラシー向上のための組織づくりとして情報リテラシーを向上させる仕組みづくりやそれを支える組織・体制について整理を行った。