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VII. 自治体首長の自転車持ち込みへの提言

 

今回の調査報告ではモデル事業を実施した事業者の沿線自治体の首長にインタビューを行い、自転車持ち込みに対するそれぞれの考え方を聞いた。ここでは各首長の自転車持ち込みに対する提言内容を要約して紹介する(インタビュー本文は巻末)。

(1) 小倉満・岐阜県大垣市長(近鉄養老線)

鉄道への自転車持ち込みは新しい交通文化の形成に向けた試みとして高く評価する。現在、国をあげて環境に対する意識改革に取り組んでいるだけに、自転車持ち込みを普及させる絶好の機会だ。JR東海にもぜひ取り組んでほしい。

(2) 稲葉貞二・岐阜県養老町長(近鉄養老線)

鉄道はバスやマイカーに比べ定時性・確実性が抜群で、通勤・通学などに不可欠な交通手段。鉄道への自転車持ち込みは発想としてはよい。しかし、地域や地元のニーズに必ずしも合致していない。自転車専用道の整備などインフラが十分整備されていない中で、交通安全面の問題がある。鉄道のスピードアップや運行本数拡大が先決ではないか。

(3) 山崎広太郎・福岡市長(福岡市営地下鉄)

自転車の鉄道への持ち込みは自転車の利用範囲を拡大する試みとして意義がある。しかし自転車専用道などの基盤整備が進まないと本格普及はむずかしい。自転車持ち込みで都心部の放置自転車が増大する懸念もある。まずは利用者のモラルを含めた「自己責任」の範囲内で自転車持ち込みの推進を図るべきである。

(4) 光武顕・長崎県佐世保市長(松浦鉄道)

沿線地域は坂道が多いため自転車利用は困難だが、エコロジーの観点から鉄道への自転車持ち込みは非常に重要である。まず自転車持ち込みを体験することが重要であり、これによって省エネ推進などで思わぬ波及効果が生まれてくる。

(5) 尼崎靖久・長崎県吉井町助役(松浦鉄道)

環境負荷の小さい自転車と鉄道を組み合わせた今回のモデル事業は、地球環境保全の観点から大いに評価できる。今後も実施するべきだ。吉井町では自転車専用道の整備が遅れているが、今後はこの方面の改善を図りたい。

 

 

 

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