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3) バスへの自転車搭載・持ち込み(実施例)

地方都市を中心に、前面に自転車ラックを装着したバスの導入が増加している。連邦政府の「渋滞緩和・大気改善プログラム」(CMAQ)予算や「陸上交通プログラム」(STP)予算が活用されている。

a.アリゾナ州フェニックス

1991年、フェニックス市およびフェニックス交通局が資金を出して市バス40台の前方に自転車2台を搭載できるラックを装着。半年のテスト期間中に5,500人以上が利用、市では350台のバスにラックを装着した。

b.ワシントン州シアトル

1993年、シアトルのキング郡交通局がCMAQ予算90万ドルを使ってバス1,200台にラックを装着したの皮切り。現在、シアトル地域では5台に1台以上がラック装着バス。毎月25万人がラックを利用している。うちシアトル交通局の利用者は4万人。

c.ニューヨーク州イサカ

トンプキンス連合地域交通局は42台のバスにラックを装着、1カ月1,000人の自転車利用客と自転車を運ぶ。乗客100人に対し1.2人の割合という。

d.カリフォルニア州サンタ・クララ・バレー

地元市交通局はすべてのバスにラックを装着。ラックが一杯の場合、運転手の指示のもとバス車内に2台まで持ち込める。

e.ハワイ州オアフ島

バス路線が極めて発達。島内のすべてのバスは、自転車2台分のラックを装着。規定のバス料金(1ドル)を払うだけで利用できる。

(2) 欧州諸国の自転車施策及び交通機関との連携

1) 自転車政策

各国濃淡はあるが、都市内では車を抑制して、公共交通と歩行者・自転車中心の環境共生型の交通体系を目指すことを政策の基本にしている点では共通している。具体的目標としては、

・オランダ:2010年までに自転車の走行距離を30%アップ

・デンマーク:2005年までに車利用者の4%を自転車にシフト

・ドイツ(ノルトラインヴェストファーレン州):自転車交通を20%引き上げる

などを掲げ、都市内の自動車の速度規制、バスレーンと自動車レーンの共存など、関連インフラの整備に取り組むとともに、鉄道・バスなど公共交通機関との連携にも力点を置いている。

2) 自転車と鉄道サービス(実施例)

欧州各国は、すでに1970年代から1980年にかけて混雑時や一部の優等列車を除き、たいていの列車に自転車を持ち込めるとともにチッキ(別送)も利用できる。現在、列車利用をさらに促進するため、サービス充実に様々な工夫をこらし、なお残る規制の一段の緩和を進めている。

 

 

 

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