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3] カーシェアリングの利点・効果

ア) カーシェアリングの需要の検討

カーシェアリングは車の個人所有の使い方を大きく変えずに、共有することによって車の全体量を減らす目的がある。しかし、実際はこれまで所有しなければ利用できないため車を使わなかった人の潜在的需要は見逃せない大きな要因である。

日本の現状では、大都市では一般的に公共交通が発達し、地価も高いことから必ずしも車を個人で所有する必要がないことも多いが、駐車場を外に求め週末利用のためだけに所有する人も多い。一方、公共交通サービスが不足しているため、郊外部や地方都市では2台以上の車が必要なところまで様々な理由がある。こうした所有形態を認識し、公共交通の利用や新しい車の利用への可能性を考慮していく。下図は典型的な車所有の諸タイプを表現している。

●日本の車所有の諸タイプ(日経エコ21 2000年1月より)

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以上のカーシェアリングの利用者の諸タイプを考慮すると、自動車所有率の高い日本では一般的に交通量が増大する懸念は少ないと思われる。しかしながら、東京のように地価が高く駐車場を確保しにくく公共交通も発達しているので車所有者は少ないため、カーシェアリングの普及ではかえって交通量が増加する可能性がある。

便利なサービスなので利用する機会も多少増大するものと思われるが、その場合基本的に公共交通サービスの充実が必要なことと同様都市内のモビリティの向上の結果ということができる。この分の交通量増大は過大でない限り、カーシェアリングの効果とは別の要素として考える必要もある。すなわち、潜在利用者の顕在化による交通量増大と都市生活の質的向上に関わるモビリティ向上による交通量の増大との問題を区別して考えることができる。

 

 

 

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