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I 公共交通ターミナルのやさしさ評価の意義と目的

 

1  背景

 

鉄道駅をはじめとする公共交通ターミナル等においては、高齢者・障害者を始め、妊産婦、乳幼児連れ、怪我人、重い荷物を持った人等、移動に制約を有する人々の快適で円滑な移動を図るために、ハードの整備として、エレベーター、エスカレーター、スロープ、車いす対応トイレ等のバリアフリー施設の整備が図られてきている。

しかし、これらの対応は、技術的ガイドラインに沿った設備を個々に設置するにとどまり、利用者のニーズを反映し、一連の利用行動が円滑に行える環境を提供するレベルに達していない施設も多い。

また、交通施設の職員が、高齢者や障害者に接することになれていない場合も多く、高齢者・障害者対応の従業員教育の充実等、ソフト面の整備も求められている。

こういったバリアフリー対策は、費用が嵩む上に、直接収益を生むものではないため、民間事業者単独での整備は遅れがちである。そのため従来から施設整備への補助金などの助成措置がなされてきたが、平成10年度補正予算では、50億円の国費補助が盛り込まれるなど、一層の整備が期待されている。

このため平成11年度においては、大都市のターミナル駅、都市の乗換駅、先進的な取り組みを行っている駅などいくつかの特徴ある駅を対象にモデル的に評価を行うことで利用者にニーズや問題的、課題を明確化し、全国の主要駅や空港、バスターミナルなど公共交通ターミナル全般の評価につなげていくことを目指している。

 

本委員会では、バリアフリー対策が進んでいる駅を高く評価することにより、鉄道事業者のバリアフリー施設整備意欲を喚起するとともに、多様な移動制約に対応できるよう、バリアフリー対策の水準の高い駅を増やしていくことを目標とする。

また、バリアフリー対策の比較的遅れている駅については、明確な整備基準目標にもとづく評価を通じて問題点を明確化し、効果的かつ効率的なバリアフリー対策の推進につなげることを目指す。

 

こうした評価を通じて得た情報や経験を積み上げていくことにより、高齢者や障害者などの身体能力と利用環境のギャップを可能な限り少なくし、利用できる人々を増やしていくとともに、より多くの人が、より使いやすく、より楽しく、より快適に利用できる環境をつくることを促進することを目指す。

 

 

 

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