こうした地域でのパラトランジットの役割は、文字どおり準公共交通として提供されており、アメリカのADAパラトランジットのような高齢者・障害者専用のものではない。すなわち、利用者は高齢者・障害者に限られていないことから、へき地等、交通の便がない一般の人の利用にも供されている(図3-4-4)。
図3-4-4 カナダとアメリカの交通モードの対応関係
(4) トランズリンクのアクセシビリティ対策
1]公共交通のアクセシビリティ対策
個々のモードについて述べる前に概況を整理しておく。表3-4-5はトランズリンク全体の利用実態である。バンクーバーの特徴として、米国の都市よりも公共交通を利用する割合が高い。また、ヨーロッパ、アジア諸都市のそれより低くなっている。都心部の高密なバス路線が移動の利便性を高めている。また、将来的に、スカイトレインの延伸や新規路線の整備、LRTを導入する構想もあり、さらに公共交通網が拡充される見通しである。
表3-4-5 公共交通利用実態
運賃体系は、スカイトレイン、シーバス、バスともに統一されており、90分以内であれば他のモードに別料金を払わずに乗り換えることができる。通常運賃、高齢者割引、時間帯割引等の実施状況を表3-4-6にまとめた。割引運賃の対象になるのは、5歳から13歳までの児童、65歳以上の高齢者、バンクーバー市内の学校に通う14歳から19歳までの学生および「GO CARD」所持者である。
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