パラトランジットの運賃はADA規定により通常利用しうる公共交通の2倍を超えてはならない。したがって、バスの運賃に合わせて金額を設定していることから、2.20ドルを徴収している。しかし、実際のコストは35ドルかかるため、補助金を受けている。
パラトランジットのトリップは50万件/年(1人1回1トリップ)である。日常的な利用登録者は3,000人程度と見られる。
具体的なシステムについてここでは、大手の受託事業者として、ワシントンDCを担当しているTMSI(Transportation Management Services, Inc.)社の提供するサービスについて述べる。同社はパラトランジットだけでなく、固定ルートなど6州で運行している。また、ヒューマンサービス(自治体の厚生部局)との契約によりMedicaid(通院用の交通)について受託運行している。
ワシントン内で20台の車輌を運行し、DC周辺を含めたメトロ・エリアだとさらに60台の車両がある。20台の内訳は、車いすを3台まで搭載できる10人乗りのバンが16台、セダンが4台である。車両はすべてWMATAの所有であり、仕様はADAに対応している。専従ドライバーは40人程度、パートは15人ほど在籍している。
予約は、14〜1日前迄の受付で、当日予約は今のところ実施していない。時間は固定路線の運行時間に対応している。
利用資格については、所定の申請書にて申し込み、診断書の作成、機能テストを受ける必要がある(詳細は資料7参照)。利用者向けのPR冊子を用意している(図2-5-5)。
運行開始後5年を経て、1998年にパラトランジットのレポートを作成した。全体的な評価としては「もっといいサービスが提供できるはずだ」という報告内容となった。現在、委託の仕組みを変更中で、現状のコントラクト方式でいくか、WMATAの独自運行で行うかどうか見極めるための、ディマンドスタディを毎年行っている。毎回需要予測を少なく見積もる傾向にありサービスが対応しきれていない状況が出ているのが課題である。
参考資料:
(A052〜A057、A060、A063、A064、A066、A067)
AmtrakのWeb Site: www.amtrak.com
WMATAのWeb Site: www.wmata.com