日本財団 図書館


日常的な広報活動は「Community Transport」という雑誌を発行して情報交流をおこなっている。また、連邦政府、議員への働きかけを行い補助予算の増額やアクセシビリティに関する法律の制定等を求めている。

交通事業者による地域交通の立上げ、運営等を内容とした「Employment Transportation Toolkit」(就労のための交通ツールキット)は、連邦政府の労働省の雇用訓練局(ETA: Employment and Training Administration)の要請をうけてCTAAが開発したものである。この技術支援のためのキットは、公共資金を得て運営している事業者が、へき地の居住者、離職者、および現在就業している人々に対して提供する交通サービスを理解してもらうためのプログラムである。自動車を所有できない低所得層の人や障害者などが就労する機会を得るために公共交通が欠かせないという事情を反映したプログラムである。

欧米では一般的であるがCTAAにおいても、交通サービスの利用者を対象としたトレーニングを積極的に進めている。その意義は、障害者の75%が失業中という状況で、就業のためにも公共交通機関を使用できるように、トレーニングを受ける必要があるためである。こうした輸送分野が、障害者教育の一つの分野として、確立されることが喫緊の課題である。

NTRC(National Transit Resource Center)は、運輸省連邦公共交通局(FTA)と厚生省から資金を得た資料センターである。CTAA本部内に資料室を置き、4人の情報スタッフを配置している。メディカル輸送から車両のスペックに関する事項まで、あらゆる数値や情報を収集している。政府からの要請があれば、それに応じた情報の収集も行う。一般からの問い合わせは年間で、およそ5,000件の対応実績(1998年)がある。CTAA Web siteで資料を公表しており、年間10万件のアクセスがある。新たなメディアを通じた情報提供の大切さがうかがえる。

 

c. 運営方法

 

16名の常勤スタッフと、非常勤職員、コンサルタント(外部コンサルタントが50〜60名)で構成されている。調査研究、技術支援、教育プログラムの提供等を行う、プロフェッショナルを擁した組織である。

運営は15名の役員会によって行う。役員の1/3は会員から選出される。構成員は、各地域のコミュニティ・トランスポーテーション事業者、郡・州の交通局、研究機関、各種協会等である。英国のCTAとは深く関係し情報交流を行っている。より高齢者・障害者に視点をおいた、実践家中心の組織として運営されている。

 

d. 財源

 

CTAAの財源の主たるものは表2-2-8に示す通りである。予算は年間600万ドル(寄付、連邦補助も含む)で、会計年度は7月1日からである。英国のCTAは寄付に基いた財政基盤である。アメリカの場合は、一部は政府から、それ以外は寄付によるという折衷型である。

もともと連邦政府から運営資金を受けているが、ロビー活動は躊躇することなく、独自に行っている。流れとしては、障害者のグループ等が独自に議員に働き掛けて、CTAAのような団体の必要性を訴えて要請するのが一般的である。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION