保育者のためのコミュニケーションワークショップ
大阪おもちやライブラリー主宰
神戸女学院大学講師
辻井 正
”保育室にはさまざま子どもたちがいる”ことは、当たり前のように受け取られていますが、もう一度、”それぞれがちがう”ことの意味を考えます。そして、子どもを”分かってあげる”というけれども、私たちは自分の人生体験の幅でしか、他者を理解できない難しさを抱えています。保育室には、家庭の愛情をいっぱい与えられている子どももおれば、時には、耳を疑うような苦しい体験を背負った子どもに出会うこともあります。自己の体験という色メガネを超えて、子どもたちを理解できる唯一の方法は、保育者が自己のコミュニケーションのツール(道具)を豊富に手に入れることです。また、近年、外国籍の子どもの入園が増えてきましたが、一言で”外国の子ども”と言っても、言語、生活、習慣等々と実に多様です。単に、外国語を学べば解決できる問題ではありません。基本的なコミュニケーションツールが、保育者に身についているのかが、基本的な課題のようです。
具体的なワークショップ
(1) 子どもを緊張させない。ふんわりと気持ちの奥から言葉があふれるような雰囲気を用意しあげる。
(2) 保育室には”いろいろな子どもがいる”、”ちがう子どもがいる”ことを具体的に感じる大切さ。
(3) 子どもが楽しむ仲間作りの実際。
(4) 保育室では生身の声(保育者の大声)を消す努力をする。
(5) 言葉に頼らない伝え方の大切さを学ぶ。
(注) ワークショップとは、講義を受ける参加者も一緒にやるという意味です。
講師略歴
関西学院大学商学部卒業後、再び、文学部大学院に入学。卒業後、公立高校に勤務の後、旧西ドイツの障害者施設「ベーテル」にて看護助手として勤務した後、ケルン大学にて研修(乳児の運動神経発達)を受け帰国する。帰国後、日本ではじめてのおもちゃライブラリーを大阪に設立すると共に、NHK教育テレビのレポーターとして、「流行の中の子どもたち」「十代の性はゆれている」「現代おもちゃ事情」「今、幼児教育を問う」等の取材で活躍。現在は、大阪教育大学、神戸女学院大学にて児童文化論を教える傍ら、臨床の場として、アサヒベビー相談(朝日新聞社厚生文化事業団)のカウンセリングを担当している。