第1分科会
外国人の子どもへの保育者の対応方法
谷口 正子(大阪国際女子大学教授)
宮原みどり(東京都・亀戸浅間保育園長)
ご両親あるいはどちらかが外国人の子どもたちの数が急増しています。そのようなお子さんを預かる保育者の方々は、日々深い配慮をもって望ましい対応に心をくだいておられることでしょう。多くの園では試行錯誤を重ねながらも外国人の子どもやその保護者に誠実に対応することで、結果として保育者は多くのことを学び、また他の園児にとってもプラスになっています。しかし一概に望ましい対応といっても個々の子どものおかれた状況は異なります。例えば、
1) 入所時の年齢、在日の期間、日本語の習得度、保護者の状況の違い(短期/長期)
2) 園を取り巻く援助態勢/体制の違い(公的、私的)
3) 園全体の考え方、取り組み方、日本人保護者の感覚などがあります。
次に望ましい対応について簡単に述べます。
1) 大人の予想をはるかに越えるストレスを背負う子どもの心理を理解すること:
言葉、文化その他すべて新しい環境という中で大きなストレスを感じています。周りの意味不明の言葉に戸惑い、自分の要求が通らないという欲求不満で一杯です。
2) 心の安定のために保育者は子どもの信頼を得ること:
子どもにとって保育者は唯一絶対の存在です。子どもの心の安定は保育者に対して信頼感をもつことによってのみ得られ、それが子どもの園への適応の最大要因となります。母語(正しい発音)で話しかける、優しいまなざしを常に投げかけ、スキンシップや語りかけを多くすることが大切です。
3) 子どもの要求を察知する努力:
子どもの非言語行動に大きな配慮を示し、子どもの切実な要求を察知する努力をしましょう。多用する言葉に注意を払い、どの場面で、どんな言葉を用いるか常に注意を払います。
4) 日本語の理解を促すこと:
ジェスチャーを交ぜた行動を積極的に行い、ゆっくりと優しい日本語で子どもの理解を促します。