日本財団 図書館


2. 観光における現状と課題

 

本地域において、より充実した総合交通体系を構築するにあたっては、交通需要の喚起が大きな条件となる。

本地域においては、定住人口の減少はなお続いており、これに歯止めをかける定住化促進の対策をいかに図っていくかについてはいうまでもないが、交通需要喚起策のもう一つの選択肢である交流人口の拡大、とりわけ観光需要の拡大については、実績もあり可能性も高いものと考えられる。

そこで、ここでは本地域における「観光」の現状と課題について整理した。

 

(1) 現状

 

奄美大島は、奄美群島国定公園に属する景勝地をはじめ、亜熱帯性植物や海洋性の優れた自然が豊富な島である。加えて、大島紬や黒糖焼酎、亜熱帯性果実などのユニークな観光資源を有した島でもある。

大島本島への入込み客は、平成4年以降、年間40万人を上回る水準で微増もしくは横ばいで推移している。

瀬戸内町の入込み客は、平成9年までは上昇傾向で推移していたが、平成10年には前年比約9,000人の減少で約86,700人となっている。

アンケート調査によると、奄美大島を訪れる観光客の目的は、マリンスポーツや自然景観の鑑賞、のんびりと休養するためなどであり、そのほとんどが1〜3回程度の来島、滞在日数は2泊から3泊が主流である。

観光スポットとしては、「マングローブ原生林」や「ばしゃ山村」、「あやまる岬」などの他に「加計呂麻島」も6割近くが認知しており、2割程度は「実際に行ったことがある」、または「行ってみたい」としている。特に広大な自然を資源とする観光スポットに強い魅力を感じている。しかし、来島の際の不満点をみると、「道路・観光案内が少ない」ことや「島内交通の便が悪い」、などがあげられている。

 

(2) 課題

 

奄美大島における観光の主要なマーケットは本土であり、そのため、本土から奄美大島までのアクセスの向上、つまり需要の拡大と呼応して、輸送力の増強、輸送サービスのレベルアップを図っていくことが今後とも必要である。

また、大島本島における観光スポットは広範囲に点在しており、バスの運行状況などから、効率的な観光ルートの設定が難しく、これらの観光スポット間の交通網の連携、更には観光案内、道路標識などの整備が観光客誘致のための課題である。

観光地としての魅力アップをいかに図っていくか、その効果的な演出方法、PR方法も重要である。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION