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■事業の内容

国際海上貨物輸送の分野においては、運輸省告示第394号(海上運用事業者等が行う電子計算機の連携利用に関する指針)に基づいて、国際標準UN/EDIFACT導入推進体制「物流EDI推進機構」が設置され(平成7年4月〜平成10年3月)、その国際部会を(社)港湾物流情報システム協会で担務し、メッセージの開発、ユーザマニュアルの作成、EDIシステム構築ガイドなど普及、推進にあたってきた。
 本事業は、国際間EDIの2000年実施に向けて、平成10年度よりパイロット企業の参加を求めて「運輸関連分野におけるEDIFACT導入トライアル(デモンストレーション)」の調査研究に着手し、トライアル実施要目の策定、必要なEDI協定書及び技術付属書を作成して、これらを関係国のEDI推進機関と協議して、トライアル実施に備えようとするものである。
 APEC域内におけるEDIトライアルが可能となり、国際物流業務の円滑、効率化が推進され、以て、わが国経済の発展及び国民生活の向上に大きく寄与するため、本事業を実施した。
(1) 「EDIFACT導入トライアル実施」のための調査・研究
 [1] 技術専門委員会の開催
   第1回 平成10年 9月25日(金) 14:00〜16:00
      (社)港湾物流情報システム協会会議室
   第2回 平成10年11月17日(火) 14:00〜16:00
      (社)港湾物流情報システム協会会議室
   第3回 平成11年 1月29日(金) 14:00〜16:00
      (社)港湾物流情報システム協会会議室
   第4回 平成11年 3月 1日(月) 14:00〜16:30
      (社)港湾物流情報システム協会会議室
 [2] 「技術専門委員会」支援業務
  a.参加予定業界の既設システム・インフラ実態調査、分析データ作成
   (a) 国内企業アンケート調査
   イ.調査期間  平成10年10月16日〜11月16日
   ロ.対  象  港湾物流情報システム協会会員(146社)
           S.C./S.F.NETセンター会員(荷主のみ/15社)
   (b) 国内企業ヒアリング調査
   イ.調査期間  平成10年11月30日〜12月8日
   ロ.対  象  アンケート回答企業の中から業種別に選出
           (株)日新/海貨、コマツ・日商岩井(株)/荷主、東京船舶(株)・APL/船社、三菱倉庫(株)/NVO
   (c) 海外EDI推進機関アンケート調査
   イ.調査期間  平成10年10月27日〜12月24日
   ロ.対  象  オーストラリア、シンガポール、韓国、台湾、マレーシア、香港、オランダ、米国のEDI推進機関
  b.EDI協定書(案)、技術的附属書チェックリストの策定
   (a) EDI協定書(案)英語版/日本語版
   イ.題 名 「Model Interchange Agreement for the International Commercial Use of EDI(Draft)/国際商取引にEDIを使用するためのモデル交換協定書(案)」
   (b) 技術付属書チェックリスト 英語版/日本語版
   イ.題 名 「Technical Annex Checklist/技術的附属書チェックリスト」
  c.「国際間EDIの調査研究」報告書作成
   (a) 題 名  「平成10年度 港湾物流分野における国際間EDIの調査研究報告書」
   (b) 規 格  A4版 170頁
   (c) 数 量  600部
  (d) 内 容  EDIFACT導入トライアル実施諸要目策定及びEDI協定書(案)・技術的付属書チェックリスト等
          第1編 「国際間EDIの調査研究」事業の概要
          第2編 国内企業の国際間における情報交換及びEDI実態調査
          第3編 国際間EDIに係る海外EDI推進機関の動向調査
          第4編 日本側実証実験仕様書(ドラフト)
          第5編 「国際間EDI/EDIFACT導入トライアル実施」に係る調整会議
          第6編 今後の課題
          付録  EDI協定書(案)及び技術的附属書チェックリスト等添付
   (d) 配布先  関係官庁80部、邦・外船社40部、国内外関係NVOCC40部、国内外海貨業者200部、国内外輸出入者(荷主)200部、在庫40部
(2) 参加関連国の担当機関との事前調整会議と調整事務(海外出張)
 [1] 海外出張(1)
  a.訪問先  Tradegate/オーストラリア(シドニー)
  b.訪問日  平成11年2月10日〜12日(3日間)
  c.訪問者  技術専門委員会 委員長 菅又久直氏
            同    事務局 小久保行正氏
  d.面会者  Tradegate CEO : Andrew J.Robertson
         EC Adviser : Barry Keogh
 [2] 海外出張(2)
  a.訪問先  KL-Net/韓国(ソウル)
  b.訪問日  平成11年2月25日〜26日(2日間)
  c.訪問者  技術専門委員会 委員長 菅又久直氏
            同    事務局 小久保行正氏
  d.面会者  KL-Net President : Lim, Jong Kook
         Business Manager : Cha, Dae Whan
         Assistant Manager : Hahn, Yong Il
         Assistant Manager : Yang, Gwi Sun
(3) 「EDIFACT導入トライアル実施」予定相手国実務担当者との調整会議開催
 [1] 第1日
  a.日  時  平成11年3月12日(金)9:30〜16:30
  b.場  所  ホテルニュー神田 2F「パレットルーム」
          千代田区神田淡路町2−10−6
c.参加国   オーストラリア、韓国、日本 ※同時通訳あり
  d.参加者   〔オーストラリア〕
          Andrew J.Robertson、Barry Keogh
          〔韓国〕
          Young-il Hahn、Hak-dong Kim
          〔日本〕
          菅又久直氏、伊東健治氏、鹿島誠之助氏、飯山勉氏、堀崎昭夫氏、小田謙介氏、阿部竜矢氏、宮垣豊美子氏(以上、技術専門委員会委員)冨島正和氏、中垣俊平氏、古城豊氏、Heather Clarke氏、上野博幸氏(以上、技術支援)山内靖雄氏、小久保行正氏、田代浩一氏(以上、事務局)
  e.議事内容
    1.対象とする業種(物流取引品目)
    2.ビジネスプロセス
    3.メッセージのハーモナイゼーション
    4.EDI交換協定及び契約
    5.プロジェクト体制とコスト負担
 [2] 第2日
  a.日  時  平成11年3月13日(金)9:30〜13:30
  b.場  所  ホテルニュー神田 2F「パレットルーム」
          千代田区神田淡路町2−10−6
  c.参加国   オーストラリア、韓国、日本 ※同時通訳あり
  d.参加者   〔オーストラリア〕
          Andrew J.Robertson、Barry Keogh
          〔韓国〕
          Young-il Hahn、Hak-dong Kim
          〔日本〕
          菅又久直氏、鹿島誠之助氏、堀崎昭夫氏、小田謙介氏(以上、技術専門委員会委員)冨島正和氏、中垣俊平氏、古城豊氏、Heather Clarke氏、上野博幸氏(以上、技術支援)山内靖雄氏、小久保行正氏、田代浩一氏(以上、事務局)
  e.議事内容
    1.検討すべき技術要件(ネットワーク、シンタックス、セキュリティ)
    2.プロジェクト・スケジュール
    3.その他
■事業の成果

本事業は、「技術専門委員会」を設置、国際間EDIにおけるEDIFACT導入トライアルに備えるべく諸準備を進める予定であったが、関係業界の次期Sea−NACCS対応、運輸省港湾EDI対応、その他国内EDI対応等に忙殺されるという状況と当協会の財政収支改善を目的とした事務局定員を2名削減による事務処理混乱などから「技術専門委員会」の立ち上げにかなりの遅れを生じた。また、外部専門業者への業務委託手続きにも時間を要したため、本事業のスタートが平成10年9月からとなり、事業期間の残りが6ヶ月という中での諸作業を強いられることとなった。
 諸作業の中でも、海外のEDIネットワーク推進組織向けにEDI質問状を電子メールで送付したが、迅速な回答を得ることが難しかったこと、選定した相手国のキーマンとのスケジュール調整に難航し、海外出張及び招聘会議が事業期限ぎりぎりとなってしまったことなど、さまざまな遅延要因はあったものの本事業の成果としては多くのものが得られた。
 国内企業に対する国際間EDIアンケート及びヒアリングでは、国内企業の既存システム・インフラの実態として、船社では自社ネットワークが構築済み、その他の業種では海外VAN利用など、業種毎による国際間EDIへの取り組みに大きな差があることが判明した。また、標準フォーマットに対するニーズについても自社フォーマットがあるからといって決して標準化を否定するものではなく、常に費用対効果を考慮に入れた対応を考えていることを読み取ることができた。
 海外出張先(オーストラリア・韓国)での各国EDI推進機関実務担当者との調整事務や日本での招聘会議においては、各国の要望や各国の事情等を考慮したかたちでのトライアル実施要目の策定、必要なEDI協定書(案)の作成、技術的附属書チェックリストの確認等、トライアル実施に備えるのに必要な諸作業を進めることができた。
 しかし、何よりも国際間EDIの必要性について各国がお互いの見解を持ち寄り、一同に会し、各国経済の発展及び国民生活の向上に向け、プロジェクトを遂行していくことを確認できたことは、本事業のこの上ない成果である。





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