日本財団 図書館


■事業の内容

我が国の物流構造は、トラック輸送が中心となっているため、地球温暖化問題の解決や地球環境改善の観点から、道路交通量の削減、交通混雑の緩和が求められている。また、より豊かな国民生活の実現や国際競争力の向上の観点から、物流効率化による物流コストの低減が求められている。物流界においては、荷主等の顧客に対する高水準のサービスの要求に追われ、前述の効率化は必ずしも進んでいないのが実状である。一方では、コスト削減を目的として物流施設を集約する要請もあり、地域内輸送だけでなく、広域にまたがる物流をカバーする拠点の整備が期待されている。しかしながら、その結節点となるべき物流拠点については、取り扱う業種品目に応じて、各種の交通機関との関係でどのような位置に立地することが適切か、末端施設関係でどのような機能分担を図ることが適切かなどについては必ずしも明らかになっていない。
 本事業は、業種品目に応じた広域的な物流ネットワークのあり方の整理とパターン化を通じて望ましい物流拠点のモデル化を行うとともに、物流拠点整備を行うべき事業者の拠り所となるよう、拠点類型別(輸入対応型・流通効率化型物流拠点、トラックターミナル、モーダルシフト拠点等)、地域別の具体的な整備計画を整備目標を含めて策定するための指針につき検討を行い事業を実施した。
(1) 実施方法
 [1] 委員会審議
  学識経験者、地方自治体、関係官庁担当官、事業専門家等からなる委員会を設置し、調査の推進及び報告書のとりまとめを行った。
   また、作業の一部を専門機関に委託した。
(2) 調査項目
 [1] 広域的な物流ネットワークのあり方の整理パターン化
 [2] 望ましい物流拠点の規模、位置等のモデル化の検討
 [3] 各地域の物流量・物流特性及び物流の将来像の把握
 [4] 各地域の都市計画、開発計画、道路・港湾・鉄道・空港等の整備計画の把握
  ・仙台、名古屋、広島等につき物流の実態及び関連交通計画の把握のための現地調査
   (当機構調査役が実施)
 [5] 物流拠点類型毎の整備目標量と配置計画の指針の検討
(3) 報告書作成
 [1] 部 数  各250部
 [2] 配布先  地方自治体、関係官庁、大学、関係機関、その他
■事業の成果

これまで物流拠点の整備は、地方公共団体や民間事業者に委ねられてきたが、近年、環境問題、交通渋滞、労働力問題等物流をめぐる社会問題が深刻化している。これらの情勢に的確に対応していく必要から、物流拠点の整備に関しては、従来より国として一定の整備の考え方を示すべきとの指摘がなされていた。

 そのため、本調査は、これらの課題に対応するため、物流拠点整備指針で示された6の類型別物流拠点を基本として整備ビジョンの策定を行った。

 本調査は、地域ごとに物流拠点の機能類型別の配置計画、地域に応じた物流拠点整備に関する考え方をはじめて明らかにしている。また、地方公共団体、物流事業者及び荷主へ幅広くアンケート・ヒアリング調査を実施しており、各主体ごとの最新の情報を整理し、整備を促進するため国、地方自治体及び民間事業者のそれぞれの主体別の関与のあり方について取りまとめている。

 今後「総合物流政策大綱」において、従来の省庁ごとの縦割りから省庁間の横断的な取組みを行うこととなっているが、本調査は、その際の貴重な資料となるとともに、地方自治体及び事業者の物流拠点整備の拠り所として活用されることが期待される。





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION