■事業の内容
本事業は、都道府県域を越えた生活・経済圏の広がりに対応した新しい交流圏に着目し、個性ある地域を繋ぐ交通軸「地域連携軸」の形成及びこれを中心とした地域開発を促進するために、特定の地域における広域交通ネットワーク整備方策を策定するための基礎資料を作成するものである。地域が個性を発揮し、相互に補完・連携しながら総体として発展していく上での交通ネットワークの形成に関する課題、地域の振興への寄与、地域間交流と公共輸送機関の対応の可能性等の側面から調査を行うものであり、いわば地域連携軸構想の実効性ある展開を可能にする諸条件を明らかにするための調査を実施した。 調査対象箇所は各地で提唱されている地域開発プロジェクト等を参考に、各地区の特性に注目するとともに、交通施設の整備状況及び特性を勘案し、毎年2か所ずつモデル地区を選定し、調査を実施したもので、関東および中国地域を対象として本事業を実施した。 (1) 実施方法 [1] 委員会審議 学識経験者、地方自治体、関係官庁担当官、事業専門家等からなる委員会を設置し、調査の推進及び報告書のとりまとめを行った。 また、作業の一部を専門機関に委託した。 (2) 調査項目 [1] 関東地域及び中国地域の開発プロジェクトについて将来フレーム、熟成度の調査 [2] 各広域交流圏の旅客流動要因の調査及び旅客流動上の課題の調査 [3] 各広域交流圏の運輸関連施設等の整備状況 [4] 各広域交流圏の旅客流動の将来予測のためのデータ作成 (3) 報告書作成 [1] 部 数 各250部 [2] 配布先 地方自治体、関係官庁、大学、関係機関、その他
■事業の成果
本調査は、都道府県を越えた生活・経済圏の広がりに対応した新しい交流圏に着目し、個性ある地域を繋ぐ交通軸「地域連携軸」の形成及びこれを中心とした地域開発を促進するために、特定地域における広域交通ネットワーク整備方策を策定するための基礎資料を作成するものである。 本調査では、東京湾横断道(アクアライン)により、千葉県と神奈川県が連絡され、これを契機に一層の活性化が求められている両県と、平成11年の春には、西瀬戸自動車道(しまなみ海道)の供用による本州・四国3架橋時代を迎え、地域の観光資源を活用した地域の振興が求められる瀬戸内地域の2地域を対象とし、検討を行った。 この結果、関東地域については、東京湾アクアラインを活用した広域交通ネットワーク整備方策として、千葉・神奈川両県民の観光レクリエーション需要を相互に吸収する観点と千葉・神奈川両県を周遊する国内観光需要を誘致する観点に立って検討する必要性があることが判明した。 これを前提に、個々の整備方策で対応可能なアクションプランを提言するとともに、早期実現性の高い個々の方策を組み合わせたプロジェクトプランについて提言を行った。更に、これらのプランを実現するに当たって必要となる課題について示した。 瀬戸内地域においては、この度の「しまなみ海道」開通により交通等の制約条件が改善されることから、それを活用した観光利用・流動を誘発させるための「広域周遊型観光旅行の立寄拠点化と滞留時間の延長方策」「個人旅行・こだわり・滞在型旅行の開拓、誘致」の2つの旅行スタイルへの取り組み方策を検討する必要があることが判明した。 そのため、資源を活用した新しい観光マーケットの創出やソフトの重視などの基本的な考えを踏まえ、地域の住民、自治体、観光関連事業者が、一体となって取り組むべき施策の具体化にあたっての このアクションプランは、地方運輸局、地方自治体、観光事業者、交通事業者等が連携して共通の将来ビジョンを提供したものであり、今後は、このアクションプランにそって具体的な事業実施が期待される。
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