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■事業の内容

海難は最近一時増加の傾向を示し憂慮される状況であったが、昨年は大幅な減少をみた。しかしながら依然として、船舶の全損や多くの人命が失われる重大、悲惨な海難が後を絶っていない。
 また、プレジャーボート等の海難は増加傾向を維持し、ついに漁船の海難を追い越して第一位となった。
 また昨年はタンカーの海難も増加し、特にナホトカ号、ダイヤモンドグレース号の海難は大量の油の流出を伴い社会的に大きな影響を及ぼした。
 これらの海難の原因は、人為的要因によるものが70%と大きな割合を占めている。また海難事故や海洋汚染の原因者は船舶などの海事関係者や臨海企業のみならず、広く一般海洋利用者、国民に及んでいる。
 海洋環境保全については、船舶に対して、油、有害物質及び廃棄物の排出規制が国内法で実施されているが、一方、IMOにおいては国際的課題として船舶からの排気ガスによる大気汚染防止、バラスト水排出による有害海洋生物の各国水域への侵入規制等について審議中であり地球規模での環境保全問題と関連して一般国民の認識も高まってきている。
 本事業は、以上のような状況を踏まえて、海難防止及び海洋汚染防止運動を海事・企業関係者のみならず広く国民の問題として取り組み、海上安全及び海洋環境保全思想の普及と高揚に寄与することを目的として実施した。
(1) 海難防止キャンペーン
 [1] 「海難防止のつどい」の開催
  a.開催月日  平成10年7月23日 13時45分〜16時25分
  b.開催場所  巡視船(やしま)
  c.参 加 者  約710名
  d.実施内容
(a) 体験航海 (船の科学館→横浜海上防災基地)
   (b) 船・海・港の航行ルール等の説明
   (c) 航空機、特殊救難隊員等による救難展示訓練
   (d) 海上保安庁音楽隊による演奏
  e.配布物
   (a) 海難防止用パンフレット(海難ゼロへの願い)
   (b) 「海と安全」7月号
   (c) 海難防止のつどい(体験航海)スケジュール
   (d) その他(テレホンカード、コットンバック)
 [2] 「全国海難防止強調運動推進大会」の開催
  a.開催月日  平成10年7月23日 10時30分〜12時
  b.開催場所  船の科学館オーロラホール
  c.参 加 者  約380名
  d.実施内容
   (a) 全国海難防止強調運動用ポスター図案及びキャッチコピーの入選者の表彰式
   (b) 海難防止アピール
   (c) 講演「タイタニック余話」(野間 恒氏)
   (d) 海上保安庁音楽隊による演奏
  e.配布物
   (a) 海難防止用パンフレット(海難ゼロへの願い)
   (b) 「海と安全」7月号
   (c) タイタニック参考資料
   (d) その他(テレホンカード、コットンバック)
 [3] 「海と安全コーナー」の実施
   第38回東京国際ボートショーの開催に合わせて「海と安全コーナー」を出展し、海難防止、海洋汚染防止思想の普及活動を行った。
  a.開催期間  平成11年2月10日〜14日
  b.開催場所  東京国際展示場(ビッグサイト)
  c.参加人数  10,000名
  d.実施内容
   (a) ビデオの上映
   (b) パンフレット等の配布
   (c) 海難防止・海洋汚染防止啓発用パネル展示
   (d) 海難防止強調運動用ポスターの展示等
  e.配布物
   (a) GMDSSパンフレットおよびリーフレット
   (b) 海難防止用パンフレット
   (c) 「海と安全」等
 [4] 全国海難防止強調運動実行委員会の開催
  a.実行委員会  2回
   (a) 第1回実行委員会  平成10年4月16日開催
   イ.全国海難防止強調運動実行委員会作業部会の設置及び実施業務について
   ロ.「全国海難防止強調運動推進大会・海難防止のつどい」実施計画(案)について
   (b) 第2回実行委員会  平成11年1月28日開催
   イ.平成10年度全国海難防止強調運動の実施結果について
   ロ.平成10年度要救助海難発生状況について
   ハ.平成11年度全国海難防止強調運動の重点事項について
   ニ.平成11年度全国海難防止強調運動の実施計画について
  b.作業部会  2回
   (a) 第1回作業部会  平成10年4月21日開催
   イ.強調運動用・周年用周知パンフレットの作成について
   ロ.強調運動用(英文)リーフレットの作成について
   (b) 第2回作業部会  平成10年5月14日開催
    「海難ゼロへの願い」パンフレット・リーフレットの作成について
 [5] 全国海難防止強調運動の宣伝
   宣伝カーを仕立てて船舶乗組員、港湾、漁業、プレジャーボート等の関係者及びその家族を対象に、次の11地区でそれぞれ3日間に互って海難事故防止等を呼びかけた。
  a.羅臼地区
   (a) 実施日程   7月23日〜29日
   (b) 宣伝実施経路  羅臼〜薫別〜標津〜麻布〜松法〜船見〜岬〜相泊
  b.釜石地区
   (a) 実施日程   7月21日〜23日
   (b) 宣伝実施経路  釜石市〜気仙郡三陸町〜大船渡市〜陸前高田市〜気仙郡三陸町〜釜石市〜下閉伊郡大槌町〜下閉伊郡山田町
  c.横浜地区
   (a) 実施日程   7月8日〜10日
   (b) 宣伝実施経路  横浜地区〜鎌倉地区〜藤沢地区〜茅ヶ崎地区〜平塚地区〜大磯地区〜小田原地区〜真鶴地区〜湯河原地区
  d.鳥羽地区
   (a) 実施日程   7月21日〜23日
   (b) 宣伝実施経路  鳥羽市〜伊勢市〜明和町〜松阪市〜南勢町〜南島町〜浜島町〜大王町
  e.宿毛地区
   (a) 実施日程   7月22日〜24日
   (b) 宣伝実施経路  片島〜新田〜田ノ浦〜内外ノ浦〜湊浦〜小筑紫〜小才角〜尾浦〜西泊〜樫ノ浦〜周防形〜古満目〜柏島〜一切〜安満地〜橘浦〜泊浦〜竜ケ追〜栄喜〜大海〜小浦〜大島〜丸島〜池島〜宇須々木〜藻津
  f.呉地区
   (a) 実施日程   7月18日〜19日
   (b) 宣伝実施経路  広島港〜呉港〜安芸川尻港〜安芸津港〜竹原港〜波方港〜今治港〜波方町〜東予港〜西条市〜土居町〜島津町〜三島川之江港〜新居浜港〜新居浜東港〜新居浜市〜波方港〜竹原港
  g.大分地区
   (a) 実施日程   7月21日〜23日
   (b) 宣伝実施経路  大分市〜別府市〜国東市〜国見町〜香々地〜真玉町〜宇佐市〜中津市〜佐伯市〜蒲江町〜鶴見町〜津久見市〜臼杵市〜佐賀関町
  h.浜田地区
   (a) 実施日程   7月15日〜17日
   (b) 宣伝実施経路  浜田市〜益田市〜温泉津町〜大社町
  i.両津地区
   (a) 実施日程   7月21日〜23日
   (b) 宣伝実施経路  水津〜豊岡〜松ヶ崎〜多田〜赤泊港〜上浦〜羽茂港〜小木港〜沢崎〜亀脇〜大立〜真野〜沢根〜二見港〜稲鯨〜高瀬〜相川〜姫津〜北狄〜高千〜石名〜関〜真更川〜鷲崎〜北小浦〜黒姫〜浦川〜和木〜白瀬〜羽吉〜両津
 j.串木野地区
   (a) 実施日程   7月27日〜29日
   (b) 宣伝実施経路  出水市〜東町〜長島町〜阿久根市〜川内市〜市来町〜東市来町〜吹上町〜加世田市〜笠沙町
  k.沖縄本島地区
   (a) 実施日程   7月16日〜18日
   (b) 宣伝実施経路  那覇市〜石川市〜名護市〜那覇港周辺海域
 [6] 全国海難防止強調運動ポスター図案およびキャッチコピーの募集
  a.キャッチコピー
    全国海難防止強調運動ポスター等選考委員会を開催し、全国から応募のあった作品5,744点の中から優秀作品を選定し、そのうち一点を海難防止用ポスターに使用することとした。
    一席:カンじゃだめ!海図で正しく 船位確認       柳沢 裕昭氏
    二席:正しい海図で正しい船位 ハイテク時代もあなたの目 伊藤  登氏
    三席:目で確認 海図で確認 船の位置          入江 一花氏
    四席:安全を願うハートで 読むチャート(海図)     小池 佳代氏
  b.ポスター
    全国海難防止強調運動用ポスター等選考委員会を開催し、全国から応募のあったポスター図案、一般の部181点、小中学生の部190点の中から次の応募者の作品を入選とした。
  (a) 一般の部
    一席:川崎 克己氏
    二席:石田 隆氏・石川和市氏
    三席:古田 春雄氏
    四席:花田 衛氏
  (b) 小中学生
    一席:黒田裕太朗氏
    二席:藤武 千絵氏
    三席:平岡 真穂氏
    四席:高嶺このみ氏
  (c) 全国海難防止強調運動用ポスター等選考委員会の開催
    全国海難防止強調運動用ポスター等選考委員会を開催し、キャッチコピー及びポスターの入選作品を上記のとおり決定した。
    なお、川崎克己氏の作品をポスターとして採用することとした。
 [7] 海難防止用資料の作成配布
   全国海難防止強調運動実行委員会作業部会を2回開催し、原稿原案、原稿に合わせてデザイン、レイアウト等を検討した。
   委員会の検討結果に基づいて当初計画を変更して「海難ゼロへの願い」(パンフレット及びリーフレット)を下記のとおり作成し、協賛団体、海上保安庁、関係者等に配布した。
  a.パンフレット「海難ゼロへの願い」強調運動用・周年用の作成配布
  (a) 体 裁  B4判 8頁 カラー
  (b) 部 数  強調運動用10,000部、周年用8,000部
  (c) 内 容  「船位確認の励行〜正しい海図使用〜」をテーマに乗揚げ海難を防止するための方策についてとりまとめたもの
  (d) 配布先  海上保安庁関係、協賛団体、海難防止のつどい、全国海難防止強調運動推進大会、海と安全コーナー等の参加者
  b.リーフレット周年用(英語版)
  (a) 体 裁  B4判 4頁 カラー
  (b) 部 数  2,070部
  (c) 内 容  「船位確認の励行〜正しい海図使用〜」をテーマに乗揚げ海難を防止するための方策についてとりまとめたもの
  (d) 配布先  海上保安庁関係及び協賛団体等
  c.広報誌「海と安全」の増刷
    部数及び配布先  7月号1,000部、海難防止のつどい及び全国海難防止強調運動推進大会参加者等
 [8] 全国海難防止強調運動用ポスターの作成・配布
   全国から公募したポスター及びキャッチコピーから選ばれた作品により、海難防止の高揚を図るため、ポスター(「カンじゃだめ!海図で正しく船位確認」のキャッチコピー入り)を下記のとおり作成し関係者に配布した。
  a.規 格  A全判 カラー
  b.部 数  8,000枚
  c.内 容  全国海難防止強調運動の実施を周知するもの
  d.配布先  海上保安庁関係、協賛団体、主要鉄道会社、団体等関係者
 [9] 海難防止キャンペーン用物品の作成配布
   全国海難防止強調運動の趣旨を明記した日用品等を配布して、海難防止を訴えるため、下記のとおり作成し、「海難防止のつどい」「全国海難防止強調運動推進大会」「海と安全コーナー」等の参加者に配布した。
  a.コットンバック  1,600枚
  b.テレホンカード  1,100枚
  c.Tシャツ       800枚(一部ポスター図案応募小中学生に送付)
(2) 海上安全・環境保護講習会
 [1] 海上安全巡回講習会
  海難防止及び海洋環境の保全についての専門的知識を有する講師により資料・ビデオを活用して、海洋レジャー関係者、海運・漁業関係者及びその家族等を対象にした幅広く、きめの細かい広報活動を次の通り全国14地区49個所(参加人員1,827名)において実施した。
  a.函館
   (a) 開催場所、実施月日および参加人員
   イ.鹿 部  2月16日 42名
   ロ.木古内  2月17日 32名
   ハ.松 前  2月18日 52名
   ニ.長万部  2月19日 58名 計184名
   (b) 対象者  漁業者およびその家族
   (c) 指導班  鷲尾哲英氏、綿井伸夫氏、渡部一也氏
  b.江差
   (a) 開催場所、実施月日および参加人員
   イ.奥尻島  10月19日 57名 計57名
   (b) 対象者  漁船員、プレジャーボート所有者
   (c) 指導班  佐藤 正氏、佐藤 司氏、柿木有多賀氏
  c.青森
   (a) 開催場所、実施月日および参加人員
   イ.大 間  6月19日 50名
   ロ.奥 戸  6月19日 30名
   ハ.平 内  7月14日 60名
   ニ.岩 崎8月24日 60名 計200名
   (b) 対象者  漁協組合員等
   (c) 指導班  向 末男氏、鈴木勝己氏、渡辺三智彦氏、佐々木誠志氏
  d.千葉
   (a) 開催場所、実施月日および参加人員
   イ.白浜町    9月16日 16名
   ロ.館山船形   9月17日 25名
   ハ.鋸南町勝山  9月18日 18名
   ニ.行徳・南行徳 9月25日 19名 計78名
   (b) 対象者  漁船等乗組員および家族等
   (c) 指導班  花井一浩氏、大垣 實氏、大崎成道氏、石川道雄氏、金森正人氏
  e.尾鷲
   (a) 開催場所、実施月日および参加人員
   イ.九 鬼  7月14日 35名
   ロ.須賀利  7月15日 75名
   ハ.海 山  7月16日 50名
   ニ.尾 鷲  7月17日 30名 計190名
   (b) 対象者  漁船乗組員,一般遊漁船員
   (c) 指導班  八島直行氏、中島 浩氏、岡田光弘氏、坂野善男氏
  f.土佐清水
   (a) 開催場所、実施月日および参加人員
   イ.土佐清水 9月 9日 23名
   ロ.中 村  9月10日 25名
   ハ.大 方  9月11日 32名
   ニ.佐 賀  9月12日 52名 計132名
   (b) 対象者  漁業者、プレジャーボート関係者とその家族
   (c) 指導班  河野廣志氏、浜岡浩二氏、船崎輝康氏
  g.福 山
   (a) 開催場所、実施月日および参加人員
   イ.福 山  11月11日 45名
   ロ.田 尻  11月12日 20名
   ハ.水 呑  11月13日 25名
   ニ.鞆    11月14日 25名 計115名
   (b) 対象者  プレジャーボート関係者
   (c) 指導班  山本崇志氏、石川好助氏、岡村信明氏、浅井利彦氏、山口美幸氏
  h.宇和島
   (a) 開催場所、実施月日および参加人員
   イ.八幡浜   9月18日 25名
   ロ.宇和島   1月24日 65名 計90名
   (b) 対象者  小型船舶乗船者、漁業関係者
(c) 指導班  吉竹孝仁氏、山口勇紀氏、田中 整氏、清塘茂男氏
  i.福岡
   (a) 開催場所、実施月日および参加人員
   イ.玄 海   7月13日  50名
   ロ.福 岡   7月14日 120名
   ハ.新 宮   7月14日  30名
   ニ.二 丈   7月15日 100名 計270名
   (b) 対象者  漁業関係者
   (c) 指導班  豊蔵俊雄氏、久良知法昭氏、波戸内一浩氏、杣川善昇氏
  j.仙崎
   (a) 開催場所、実施月日および参加人員
   イ.江 崎   1月 5日  16名
   ロ.須 佐   1月 6日  21名
   ハ.大 浦   1月 7日  52名
   ニ.黄 波   1月 8日  46名 計134名
   (b) 対象者  漁業関係者
   (c) 指導班  大田守勝氏、古賀勝憲氏、中西雅司氏、奥山俊介氏
  k.舞鶴
   (a) 開催場所、実施月日および参加人員
   イ.舞 鶴   1月25日  24名
   ロ.久美浜   1月26日  48名
   ハ.丹 後   1月27日  19名
   ニ.網 野   1月28日  22名 計113名
   (b) 対象者  漁業組合員、小安協関係者
   (c) 指導班  今村喜好氏、豊田裕昭氏、藤谷泰彦氏、津田尚則氏
  l.新潟
   (a) 開催場所、実施月日および参加人員
   イ.山 北   1月19日  28名
   ロ.岩 船   1月20日  31名
   ハ.粟 島   2月19日  56名 計115名
   (b) 対象者  漁船員、漁業協同組合職員
   (c) 指導班  小熊昭彦氏、三國利弥氏、水出徹夫氏、柴田孝司氏
  m.鹿児島
   (a) 開催場所、実施月日および参加人員
   イ.尾 久   2月21日  15名
   ロ.西之表   2月22日  16名
   ハ.南種子   2月23日  21名 計52名
   (b) 対象者  漁業関係者等
   (c) 指導班  佐藤 至氏、此内達也氏、井手迫博氏、浦本常二氏
  n.中城
   (a) 開催場所、実施月日および参加人員
   イ.勝連町   6月25日  30名
   ロ.宜野座   7月22日  15名
   ハ.沖 縄   8月27日  28名
   ニ.佐 敷   9月29日  24名 計97名
   (b) 対象者  漁業関係者、海運会社関係者
   (c) 指導班  玉城正義氏、山川博司氏、徳山哲次氏、平安山隆氏
   なお、本年度までの海上安全巡回講習会開催累計は、988地区、4,001個所、参加人員199,936名である。
 [2] 海洋汚染防止講習会
   船舶乗組員等を対象に「海洋汚染防止に関する専門知識の周知及び海洋環境保全思想の啓蒙」をテーマとして、次のとおり6個所(参加人員615名)において開催した。
  a.大畑町
   (a) 開催場所  大畑町中央公民館
  (b) 実施月日  平成10年10月9日
   (c) 主な対象  漁業・港湾工事・海事関係者
   (d) 演題及び講師
   イ.海洋環境保全と法規制について
     運輸省運輸政策局環境・海洋課海洋室係員 …………………… 松居伸明氏
   ロ.船舶と海洋環境保全について
     運輸省海上技術安全局安全基準課専門官 ……………………… 大嶋孝友氏
   ハ.海洋汚染の現状と防止対策について
     海上保安庁警備救難部海上環境課専門官 ……………………… 児嶋峯男氏
   ニ.主な油等の流出事故と防除措置について

     第二管区海上保安本部警備救難部救難課災害対策調整官 …… 一條福男氏
   ホ.海洋汚染事故とその教訓
     青森海上保安部警備救難課長 …………………………………… 向 末男氏
   (e) 参加人員  105名
  b.ひたちなか市
   (a) 開催場所  那珂湊漁村センター
   (b) 実施月日  平成11年2月5日
   (c) 主な対象  漁業関係者、常陸那珂港工事関係者、フェリー関係者
   (d) 演題及び講師
   イ.海洋環境保全と法規制について
     運輸省運輸政策局環境・海洋課海洋室係員 …………………… 松居伸明氏
   ロ.船舶と海洋環境保全について
     運輸省海上技術安全局安全基準課補佐官 ……………………… 北 文雄氏
   ハ.海洋汚染の現状と防止対策について
     海上保安庁警備救難部海上環境課業務係長 …………………… 入江仁志氏
   ニ.主な油等の流出事故と防除措置について
     第三管区海上保安本部警備救難部海上災害対策室第一災害対策係長                          …………………… 森本和博氏
ホ.海洋汚染の現地の実情について
     那珂港海上保安部警備救難課長 ………………………………… 高橋由文氏
   (e) 参加人員  99名
  c.下津
   (a) 開催場所  下津町民交流センター
   (b) 実施月日  平成10年11月10日
   (c) 主な対象  石油関係事業者・海運業者・漁業者・自治体関係者等
   (d) 演題及び講師
   イ.海洋環境保全と法規制について
     運輸省運輸政策局環境・海洋課海洋室専門官 ………………… 麻岡秀行氏
   ロ.船舶と海洋環境保全について
     運輸省海上技術安全局安全基準課補佐官 ……………………… 北 文雄氏
   ハ.主な油等の流出事故と防除措置について
     海上保安庁警備救難部海上防災課防災係長 …………………… 田代 聡氏
   ニ.海洋汚染の現状と防止対策について
     第五管区海上保安本部警備救難部海上環境課監視取締係長 … 矢野正行氏
   ホ.海洋汚染事故とその教訓
     ハヤシ海運和歌山支店長 ………………………………………… 林 能弘氏
   (e) 参加人員  81名
  d.尾道
   (a) 開催場所  協同組合ベイタウン尾道
   (b) 実施月日  平成10年9月28日
   (c) 主な対象  造船、漁業、旅客運送、海事、港湾、官庁、臨海企業関係者
   (d) 演題及び講師
   イ.海洋環境保全と法規制について
     運輸省運輸政策局環境・海洋課海洋室係員 …………………… 松居伸明氏
   ロ.船舶と海洋環境保全について
     運輸省海上技術安全局安全基準課係員 ………………………… 中澤文宏氏
ハ.主な油等の流出事故と防除措置について
     海上保安庁警備救難部海上防災課国際係長 …………………… 木下秀樹氏
   ニ.海洋汚染の現状と防止対策について
     第六管区海上保安本部警備救難部海上環境課専門官 ………… 青木宏充氏
   ホ.海洋汚染事故とその教訓
     尾道海上保安部警備救難課長 …………………………………… 川村泰久氏
   (e) 参加人員  172名
  e.富山
   (a) 開催場所  富山県農協会館
   (b) 実施月日  平成10年11月11日
  (c) 主な対象  富山県沿岸排出油防除協議会、漁協・マリーナ関係者
   (d) 演題及び講師
   イ.海洋環境保全と法規制について
     運輸省運輸政策局環境・海洋課海洋室専門官 ………………… 君塚秀喜氏
   ロ.船舶と海洋環境保全について
     運輸省海上技術安全局安全基準課国際第二係長 ……………… 安部清吾氏
   ハ.海洋汚染の現状と防止対策について
     海上保安庁警備救難部海上環境課指導取締係長 ……………… 渡邉聖基氏
   ニ.主な油等の流出事故と防除措置について
     第九管区海上保安本部警備救難部救難課長 …………………… 上平 明氏
   ホ.海洋環境美化へのとりくみ
     伏木海上保安部警備救難課長 …………………………………… 粟井次雄氏
   (e) 参加人員  68名
  f.金武
   (a) 開催場所  金武漁業協同組合
   (b) 実施月日  平成10年7月23日
   (c) 主な対象  金武火力発電所建設関連団体(海上工事)・石油関係各社、船主、船舶乗組員、船舶代理店・漁業関係者
   (d) 演題及び講師
   イ.海洋環境保全と法規制について
     運輸省運輸政策局環境・海洋課海洋室補佐官 ………………… 渡田滋彦氏
   ロ.船舶と海洋環境保全について
     運輸省海上技術安全局安全基準課企画第二係長 ……………… 松尾真治氏
   ハ.主な油等の流出事故と防除措置について
     海上保安庁警備救難部海上防災課企画係長 …………………… 渡邉康範氏
   ニ.海洋汚染の現状と防止対策について
     第十一管区海上保安本部海上環境課専門官 …………………… 濱本俊幸氏
   ホ.海洋汚染事故とその教訓
     中城海上保安署次長 ……………………………………………… 玉城正義氏
(3) 海難防止訪船指導
   カーフェリー及びジェットフォイル、水中翼船等の高速旅客船、観光船等の旅客船にアドバイザーが乗船して実施した。実施にあたっては、委員会を設けて訪船指導の基本計画、基本項目等を決定し、実施した。
 [1] 委員会の開催
  委員会を2回開催し、次の事項を検討した。
  a.第1回  平成10年4月22日開催
   (a) 委員長の選出
   (b) 本年度事業計画 (訪船指導航路、対象船舶) について
   (c) 平成10年度の訪船指導重点事項について
  b.第2回  平成11年2月9日開催
   (a) 平成10年の旅客航路事業における旅客船事故発生状況について
   (b) 平成11年度における旅客船の安全対策について
   (c) 本年度実施した旅客船等訪船指導の総合所見について
   (d) 本年度事業の報告書 (案) について
 [2] 訪船指導
  a.第1回旅客船等訪船指導委員会及び訪船アドバイザー打合せ会議を開催し、本年度の海難防止訪船指導事業計画(訪船航路及び対象船舶=12航路12隻)を決定し、あわせて本年度の訪船指導等の重点事項を下記のとおり決めた。
   (a) 操舵装置等の点検整備と着岸時の安全な操船の徹底
   (b) 乗客及び車両の安全な乗下船作業の徹底、特に積載車両関係事故の防止(運航管理規程に定める各作業基準の遵守)
   (c) 高速船の安全運航の確保[1]見張りの適切な実施[2]狭水道、沿岸航行時の適切な航法[3]船橋当直者の組織運用
  b.下記のとおり12社、12航路、12隻の訪船指導を実施した。
   (a) 東日本フェリー(株)
   イ.実 施 日  平成10年6月25日
   ロ.実施航路   青森〜函館
   ハ.船種・船名(総トン数) 超高速フェリー・ゆにこん(1,498トン)
   ニ.指 導 員  橋本 進氏、山田昌利氏
   (b) 座間味村
イ.実 施 日  平成10年6月13日
   ロ.実施航路   那覇〜阿嘉〜座間味
   ハ.船種・船名(総トン数) 高速船・クィーンざまみ(107トン)
   ニ.指 導 員  鈴木三郎氏、古荘雅生氏
   (c) 久米島フェリー(株)
   イ.実 施 日  平成10年6月12日
   ロ.実施航路   那覇〜久米島
   ハ.船種・船名(総トン数) 高速船・ぶるーすかい(275トン)
   ニ.指 導 員  鈴木三郎氏、古荘雅生氏
   (d) (株)名門大洋フェリー
   イ.実 施 日  平成10年6月24日〜26日
   ロ.実施航路   大阪南港〜新門司
   ハ.船種・船名(総トン数) カーフェリー・フェリーふくおか(9,350トン)
   ニ.指 導 員  上瀧昭六氏、笠原信雄氏
   (e) 瀬戸内海汽船(株)
   イ.実 施 日  平成10年7月1日
   ロ.実施航路   宇品〜呉〜高浜〜三津浜
   ハ.船種・船名(総トン数) カーフェリー・太田川(698トン)
   ニ.指 導 員  河野善一氏、夏目志津馬氏
   (f) 広別汽船(株)
   イ.実 施 日  平成10年6月25日〜26日
   ロ.実施航路   呉〜広島〜別府
   ハ.船種・船名(総トン数) カーフェリー・由布(2,200トン)
   ニ.指 導 員  佐藤尚登氏、成田一郎氏
   (g) 折田汽船(株)
   イ.実 施 日  平成10年10月8日〜9日
   ロ.実施航路   鹿児島〜屋久島
   ハ.船種・船名(総トン数) カーフェリー・フェリー屋久島2(3,392トン)
   ニ.指 導 員  鈴木三郎氏、古荘雅生氏
   (h) 熊本フェリー(株)
   イ.実 施 日  平成10年9月1日
   ロ.実施航路   熊本〜島原
   ハ.船種・船名(総トン数) カーフェリー・オーシャンアロー(1,680トン)
   ニ.指 導 員  佐藤尚登氏、成田一郎氏
   (i) 丸中金華山汽船(株)
   イ.実 施 日  平成10年10月20日
   ロ.実施航路   鮎川〜金華山
   ハ.船種・船名(総トン数) 一般旅客船・エルム(199
■事業の成果

(1) 海難防止キャンペーン
わが国にとって、海は、海運、水産、レジャー等に幅広く活用され、また、各地で海上工事作業も行われており、そこでは多種多様な船舶が活動している。このため船舶所有者、工事実施者、乗組員等のいわゆる海事関係者だけではなく、広く一般市民に対しても海難防止についての関心を高め、理解を深めるよう働きかける必要がある。
 本事業は昭和59年度からは官民一体となった全国運動として展開しているが、中央の実施体制の強化、地方における本運動推進の核となる推進連絡会議が活躍するなど、本運動の土台となる組織づくりに大きな成果が得られている。
 また、巡回広報、海上安全教室、各種訓練、行事等を全国各地で展開し、海事関係者だけでなく、一般市民に対しても海難防止思想の普及、高揚に多大な効果がある。
 特に、本運動の一環として中央で開催している「全国海難防止強調運動推進大会」、「海難防止のつどい」は多くの一般市民の参加を得て海難防止の思想普及に大いに役立った。また、ポスター図案及びキャッチコピーの応募総数は、ポスター図案の371点、キャッチコピーは5,744点と前年に比べ減少したものの、昭和63年からポスター、59年からキャッチコピーの募集を行い本運動が除々に一般国民にも浸透しているものと思われる。
 また、「海と安全コーナー」は、東京国際ボートショーの中で開設しているが、本年は総入場者数152,199名でマリンレジャーに関する人々の関心は、依然として高い。その中で、約10,000名の人々が当コーナーに立ち寄り、配布したパンフレットや事業紹介パネル、救命衣等の展示物により海上安全についての認識を新たにしたと考えられる。従来のレジャーのみに目を向けていた来場者に対し、海難防止・海洋汚染防止思想に目を向けさせた効果は大きい。
 今後、「海難防止のつどい」「全国海難防止強調運動推進大会」及び「海と安全コーナー」は更に内容を充実させ、継続実施したいと考えている。これらの運動は、海への指向が増大する中で、海の知識と海上安全思想を高める上で、時宜を得たものとして関係官庁はもとより、海事関係者等から高い評価を得ている。
 なお、本運動に用いるポスターの図案及びキャッチコピーの公募を行い、全国の海事関係者はもとより、一般家庭の主婦あるいは小中学生から多数の応募を得て、本運動に対する関心を高めることができた。
(2) 海上安全・環境保護講習会
 [1] 海上安全巡回講習会
  一般に小型船は、安全に対する各種の情報の入手が困難であり、気象・海象をはじめ安全確保のための諸対策、処置に具体的な知識を得にくいというのが現実であり、さらに堪航性の判断の不十分、安全運航に関する技術や知識の低いこと、また一面、運航形態の特殊性などもあって海難事故も多く発生している。
   この講習会は主として交通不便な沿岸の辺地で働く人々を対象として巡回車を利用して、海難防止に関するビデオなどを活用して、わかりやすく海難防止に関する知識を周知、啓発しているが、文書等による単なる注意喚起の呼びかけに比べ、膝を交えて行う本講習会では、身近な海難の実例をもとに事故に対する反省とその対策を再認識させるうえで見るべきものがあり、質疑応答に対してもその場において直接安全上のポイントを具体的に説明、指導することができ、船舶乗組員はもとより関係者の海難防止に対する自覚を高め、理解を深めることにより海難の減少が期待される。
   なお、現地漁民、海洋レジャー関係者との直接の接触、対話の経験等を今後の海難防止の立案等に反映させたい。
 [2] 海洋汚染防止講習会
   海洋汚染の防止を徹底するためには、その主たる原因者となる船舶乗組員、工事実施者、危険物取扱者などその関係者に対して、広く関係法令、防除措置等の周知を行う必要がある。
   このような観点から前記関係者を対象とした講習会を全国6個所で開催した。講習会は、「海洋汚染防止に関する知識、思想の周知、啓発」をテーマに関連法令及び各地域における海洋汚染防止行政の現状を説明し、海洋汚染防止に関する知識、思想の周知、啓発に多大な効果を上げた。
   本講習会は、各開催地において多数の受講者がみられ、海洋環境保全思想の普及と高揚を図るうえで大きな成果を収めていると思われる。
(3) 海難防止訪船指導
本事業は、当初の目的としたカーフェリーに重点を置きつつ、最近の就航船舶の状況を勘案して、対象をカーフェリー以外の高速船、水中翼船等にも拡大し、時代のニーズにマッチした訪船指導を行うこととした。
旅客船、カーフェリーは多数の乗客と自動車を輸送するため、一旦事故を起こすと悲惨な災害に結びつくことになるが、安全運航を阻害する数々の問題点も指摘されている。
即ち、これら船舶は同一航路の反復という特性から、いわゆる“慣れ”による安全運航軽視の状況に陥りやすいこと、また、特殊な高速船の就役が急増していること等のこれら船舶側の問題点のほか特に東京湾、瀬戸内海においては船舶が輻輳し航海環境がここ数年悪化の一途を辿っていること、海洋レジャー活動の活発化等がこれら船舶の安全運航を著しく阻害している。
 そこで、アドバイザーが旅客船、カーフェリーの通常運航時に乗船して、安全運航を阻害する問題点を実地に見聞し、安全運航の基本の見直しを行い、さらに乗組員との意見交換により、広い見地にたって実情を把握し、現状に即した有益な示唆を与え、旅客船等の海難の未然防止に良好な成果を上げている。
 本事業は、アドバイザーが乗組員に対し、直接安全運航の調査並びに確認をし、必要ならば安全運航に関する改善の助言を行うことにより、また、運航管理者に対しては運航管理の改善を助言することにより旅客船等の安全運航に寄与するものと考えられる。
 なお、本年は次の訪船指導重点事項に従って、指導の強化が図られ、その成果があった。
 [1] 操舵装置等の点検整備と着岸時の安全な操船の徹底
 [2] 乗客及び車両の安全な乗下船作業の徹底、特に積載車両関係事故の防止
  (運航管理規程に定める各作業基準の遵守)
 [3] 高速船の安全運航の確保
  a.見張りの適切な実施
  b.狭水道、沿岸航行時の適切な航法
  c.船橋当直者の組織的運用





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