
■事業の内容
海洋空間利用に関しては沿岸域は既に高度に利用されており、今後はさらに沖合域を利用することが必要な情勢にある。沖合の大水深、軟弱地盤域などの施工条件の厳しい海域では、浮体工法が埋立工法を補う工法として有効であるとして、平成7年度から超大型浮体式海洋構造物の研究を実施し、当初計画した技術を確立した。 しかし、メガフロートの用途で、規模及び技術面から最も重要な浮体空港の実現のためには、空港機能に関する安全性、信頼性を確保するための技術を確立する必要がある。そのためには管制装置の機能確認と航空機の離着陸実証実験が不可欠である。 本事業はメガフロートが空港に利用可能であることを実証的に研究開発すると共に、多用途にも成果を活用することにより、海洋空間利用を容易に実施できることを目的とした研究を実施した。 (1) 空港用装置の研究開発 [1] 空港用浮体設計技術の研究 a.階層的構造解析手順の確立 (a) 解析・計算し、3つの手法を開発した (b) 報告書作成 b.滑走路下構造設計法の検証・評価 (a) 解析・計算 (b) 報告書作成 c.鋼製浮体上の舗装仕様検討 (a) 弾性挙動を示す浮体構造の上面に施す舗装の制約条件(限界)を明らかにした (b) 報告書作成 [2] 低頭拘束型係留装置の開発 a.実験計測結果の策定 (a) 機能評価を行った (b) 報告書作成 b.波浪応答計算 (a) 機能評価を行った (b) 報告書作成 [3]浮体上の管制塔の構造及び制御技術の開発 a.管制塔の構造設計法の開発・検証 (a) 解析・計算を実施し、設計指針案としてまとめた。 (b) 報告書作成 (2) 空港機能シミュレーション技術の研究開発 [1] 浮体挙動の研究 a.プログラムの高速化 (a) フェーズ<1>で開発されたシミュレーションプログラム高速化を行った。 (b) 報告書作成 b.改良 (a) フェーズ<1>で開発されたシミュレーションプログラムの改良を行った。 (b) 報告書作成 [2] 計器着陸装置シミュレーション a.PAPI弾性応答出力機能の追加 (a) 報告書作成 b.グライドスロープ弾性応答出力機能の追加 (a) 報告書作成 c.グライドスロープ設置位置の弾性応答推定 (a) 報告書作成 [3] 気象海象観測及び浮体挙動計測機器類の手配 a.波高計測装置 購入済 b.沖波計測装置 購入済 c.加速度計測装置 購入済 d.係留変位計測装置 購入済 [4] 計測用機器類の改装工事 a.フェーズ1計測用機器類の点検・改装 (a) 改装工事終了 (b) 報告書作成 b.フェーズ2計測装置の設計・詳細計画 (a) 報告書作成 (3) 着陸用計器の研究 [1] 次世代航空管制システムへの適合性の研究 a.実験計画の詳細検討及び文献調査・基礎データ等準備 (a) 報告書作成 b.電波形成の研究 (a) 報告書作成 (4) 環境影響調査研究 [1] 付着生物防止実験の事前準備 a.報告書作成 (5) 実証実験用空港モデルの建設 [1] 浮体ユニットの建造 a.B、E、Fユニット製作終了 b.報告書作成 [2] 現行モデルの改造 a.Dユニット製作終了 b.報告書作成 [3] 係留ドルフィンの建設 a.ジャケットの加工終了 b.報告書作成
■事業の成果
本研究開発は、メガフロートが空港に利用可能であることを実証的に研究開発すると共に、他用途にも成果を活用することにより、海洋空間利用を容易に行える技術の確立を計ることを目的とする。
本年度は3年計画の初年度として、主として2〜3年目に行う実証実験の準備段階の研究を実施し、当初計画したとおりの成果を得た。
空港用装置の研究開発では、空港の施設の設置、特殊な部分の特に精密な構造応答解析や、空港用係留装置の開発を行った。また、鋼構造物の上への舗装仕様及び管制塔構造の基礎的な検討を行った。
空港機能シミュレーション技術の研究開発では、前研究(フェーズ<1>)で開発したプログラムを利用した浮体挙動解析計算を行うと共に、シミュレーターに組み込むプログラムの開発にとりかかった。
また、浮体モデル計測のために必要な計測機器の手配を行い、次年度のモデルへの組込に備えた。
着陸用計器の研究では、次世代航空管制システムについての調査、及び着陸用誘導電波の形成のための実験方法の検討を行った。 環境影響調査研究では、付着生物防止実験の準備用である実験室での実験及び検討を行った。また、実験海域の環境の調査を行った。 実証実験用空港モデル建設では、3個のユニットの新造、前研究(フェーズ<1>)用浮体モデルの空港モデルの一部に転用するための改造、ドルフィン建造予定海域の土質調査、係留用ドルフィンの製作を行い、予定どおり完成した。
|

|