■事業の内容
(1) 資料冊子の作成配布 シンポジウム開催に先立ち、資料冊子を作成しシンポジウム参加申込者には前もって配布し、専門的内容につき理解をもって参加してもらい、2日間のシンポジウムの成果をあげることを目指した。 参加申込者約300名の他、都道府県・指定都市身体障害者福祉主管課、全国補聴器キーパーソン、当会加盟55協会、全国聴覚障害者情報提供施設、全国聾学校などに送付した。 (2) シンポジウム開催 [1] テーマ 「補聴援助システムとリハビリテーションの普及啓発」 [2] 内 容 a.第1日目 (a) 講演 「小児人工内耳の聞こえと言葉の発達」 京都大学大学院医学研究科講師 内藤 泰 (b) シンポジウム1 「人工内耳の適応と課題」 コーディネーター 内藤 泰 パネリスト 京大病院ST 山口 忍 同 国際医療福祉大学教授 廣田 栄子 同 (社)全難聴人工内耳部長 山口 武彦 b.第2日目 (a) シンポジウム2 「補聴器・リハビリテーションの現在と将来」 コーディネーター 京都府立医科大学客員講師 安野 友博 パネリスト 医療法人大山医院 大山 孜郎 同 愛媛大学教授 高橋 信雄 同東神実業(株) 竹田 利一 同 (社)全難聴理事長 高岡 正 (b) シンポジウム3 「補聴援助システム・まちづくり・音環境の整備」 コーディネーター 筑波技術短大教授 大沼 直紀 パネリスト 愛媛大学助教授 立入 哉 同 琵琶湖病院医師 藤田 保 同 (社)全難聴理事 遠藤 孝 同 (社)全難聴元情報保障部長 小島 茂樹 [3] 開催日 第1日目 平成11年1月16日 第2日目 平成11年1月17日 [4] 開催場所 ホテルルビノ京都堀川(京都市) [5] 参加人員 両日共 約300名 (3) 報告書の作成配布 題名『補聴援助システムとリハビリテーション』 〜難聴を克服する為に〜 (4) 実行委員会の開催 3回
■事業の成果
(1) 本補助事業「補聴援助システムとリハビリテーションの普及啓発」は、「資料冊子」の作成配布と、「シンポジウム」の開催、そしてシンポジウムに関わる「報告書」の作成配布、から成っている。 [1] シンポジウムで普及啓発を目指した聴覚障害者を取り巻く環境・福祉の状況 社会の高齢化、生活音環境の悪化(日常的な騒音やストレスの蓄積等)により難聴者は著しく増加しており、推定600万人以上の人が聞こえなかったり、聞こえにくい障害によりコミュニケーションの困難に苦悩している。 人工内耳やデジタル機器など医学や科学分野で画期的手法が生み出されつつあるが、必要とする人たちに的確な情報が届かず、これまで成果が十分に生かされていない。 こうした実情を踏まえて、各専門分野の先進的技術や研究、実績を交流し、教育やリハビリ分野に生かすとともに専門分野間の連携を目指して、シンポジウムを中心としたこの補助事業を企画し、それを通じて聴覚障害者を取り巻く生活環境の改善、福祉向上に寄与せんとしたものであった。 [2] 幼児に言葉を教える聾学校幼稚部や各地の病院関係者から、このシンポジウムへの強い期待が寄せられた。 参加者は教育関係が30%、医療関係が30%、福祉施設、聴覚障害者が40%であり、ニーズを反映した理想的な構成であったといえる。 [3] 「資料冊子」の発行 先端的な知識や技術の普及とシンポジウムの討議を効率的にするために、シンポジウムに先立つ平成10年12月に「資料冊子」を発行し、参加者を始め全国の聾学校、都道府県・指定都市身体障害者福祉主管課、補聴器キーパーソン、関連病院、聴覚障害者情報提供施設、難聴者加盟協会などに約1000部を配布した。
(2) 「シンポジウム」の成果
[1] 言葉を覚えるために、早期幼児の聴覚活用が大切なこと。
[2] 補聴器のリハビリテーション、フィッティングにはかなりのフォローが必要であること。
デジタル機器の長所短所、言葉の弁別を高める、新しい技術などについての知識の修得。
[3] 各専門分野の連携を作り出すことの必要性。
[4] 新しく生まれる聴覚言語士の役割。
[5] 介護保険での補聴器の給付とフォローの仕方。
など貴重な情報が参加者に共有された。
多くの参加者から今後もこのような専門的で総合的なシンポジウムを開催してほしいとの要望が多数寄せられている。
(3) 「報告書(集)」の発行
シンポジウムの内容をより正確に理解し、活用してもらうために、「報告集」を発行し参加者へ配付した。
(4) その他
[1] 京大病院を始め、今回のシンポジウムを踏まえて聴能訓練のための新しい取り組みが始められている。
[2] これまで試行錯誤的であった難聴者へのフォローが「資料冊子」の発行で、最新の手法で行われることが期待される。
[3] 老人施設などでの補聴援助への取り組
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