日本財団 図書館


■事業の内容

最近の造船業界は、漁船、内航船における建造量は極めて低水準で推移しているとともに、比較的受注が好調とされている輸出船においても為替レートの不安定、受注船価水準の低迷等により先行きの安定感に乏しいことから、造船業界を支えている関連業界の利益水準は依然として回復基調をみせるにいたらず、造船業界・水産業界の景気変動に大きく左右される船舶電装業界においては、漁獲の減少及び魚介類の価格の低迷により漁船工事代金が回収できないことや、受注環境の悪化に加えて、従来からの受注価格等の取り引き条件が依然として解決されていない中、週40時間労働による労務費、外注費等のコストの上昇が余儀なくされ、経営環境は益々厳しくなっている。
 船舶電装業が将来的に存続していくためには、中小企業近代化促進法に基づく協調型構造改善事業を中小造船業と協調して実施し、経営基盤の強化や人材難対策としての労働条件の改善等に取り組むとともに、船舶における電気・電子装備機器の高度化に対応していくためには、業界をあげて電気・電子技術の向上に努め、国における検査体制の合理化の一環である特定のサービス・ステーション等の制度を充実させ、責任ある工事請負体制の確立を図り、船舶の安全を図るため、本事業を実施した。
(1) 構造改善
 [1] 構造改善事業計画の実施状況及び参加会員企業の取り組み方等について運輸局、地方小船工等、参加会員企業と協議をした。
   実施場所(15カ所)
   釧路市、根室市、八戸市、青森県大間町、青森県大畑町、石巻市、仙台市、大阪市、神戸市、相生市、姫路市、兵庫県北淡町、高松市、香川県白鳥町、徳島市
 [2] 中小型船造船業の構造改善計画に係る承認申請書の作成
   中小型船造船業の構造改善計画に係る承認申請書(全体計画及び平成10年度計画)
    規格 A4判 8冊で339頁 部数66部    中小型船造船業の構造改善計画の変更に係る承認申請書(平成11年度計画及び10年度報告)
    規格 A4判 8冊で410頁 部数66部
   造船業の構造改善計画に係わる大臣承認申請については、平成10年7月7日付けで中小企業近代化促進法の規定に基づき、船舶の製造又は修理業の中小企業近代化計画が運輸大臣より承認された。
(2) 技術指導等に関するブロック会議及び事業場設備等の実地調査指導
 [1] 技術指導等に関するブロック会議の実施
  会員企業の経営の合理化及び電装技術の向上等を図り、国の船舶検査の合理化に資するため、検査に関する打合わせ会を次のとおり行った。
  a.会議の内容
   ・法令改正及び検査制度等の現況について
   ・当協会の現況について
   ・小型船舶の検査等について
  b.実施場所(9カ所)
    釧路市、石巻市、新潟市、横浜市、清水市、舞鶴市、呉市、高松市、福岡市
  c.参加者及び参加数
   (a) 参加者  運輸省運輸局・海運支局、日本小型船舶検査機構、会員など
  (b) 参加数  314名
 [2] 事業場設備等の実地調査指導
   電装認定事業者、レーダー等認定事業者及びGMDSS設備サービス・ステーション制度の拡充を推進するため事業場の調査指導を次のとおり行った。
   実施場所(27カ所)
   根室市、稚内市、八戸市、相馬市、いわき市、日立市、東京都港区、横浜市(2)、三浦市、金沢市、清水市、兵庫県家島町、因島市(2)、尾道市、広島市、香川県内海町、宇和島市、山口県上関町、下関市、北九州市(2)、臼杵市、佐世保市、宮崎県門川町、那覇市
■事業の成果

(1) 構造改善
最近の船舶電装業界を取り巻く環境は、依然として受注価格は低価格であり、一定の仕事量を確保できても採算性に問題は大きく、また、内航不況による過剰船腹等で中小造船業界は構造的な不況となっていること、更に漁船については遠洋マグロ漁船の減船等で当業界の主要な顧客である水産業界は、漁船建造が依然として厳しい状況にある。
このような状況下により、当会は会員事業者が安定的経営を維持し、造船業の発展に寄与していくために、造船業界と協調して新商品または新技術の開発、生産または経営方式の適正化、取引関係の改善などを目的とする本事業に取り組んできた。
本年度においては、協調型 (第5次)構造改善計画事業初年度となったが、造船所を核とした各構造改善グループへ参加している会員事業者が、造船所との協調のもと労働災害の防止、労働環境の改善、委託生産・委託加工、設備の相互利用、原価管理の徹底、債権管理の適正化、従業員の資質の向上、福利厚生の充実、人材確保、中小企業の技術力・ノウハウ継承事業、生産方式の適正化及び経営の多角化、省エネルギー・省資源・公害防止対策、中小造船所の高度化の課題解決のための情報収集や、検討会を開催し、構造改善計画を実施し、初期の成果を上げることができた。
(2) 技術指導等に関するブロック会議及び事業場設備等の実地調査指導
会員企業の経営の合理化及び電装技術の向上等を図り、国の船舶検査の合理化に資するため、検査に関する打合わせ会を実施し、かつ、電装認定事業者、レーダー等認定事業者及びGMDSS設備サービス・ステーション制度の拡充を推進するため事業場の調査指導を行い、技術の向上に努め船舶の安全に寄与することができた。
 本年度中には、運輸省の「特定のサービス・ステーション等」の制度により、電装認定事業場2、GMDSS設備サービス・ステーション14、レーダー等の装備工事及び整備事業場23の事業場が新たに運輸局から証明書を受けたことにより、各々179事業場、144事業場、122事業場までになった。





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION