日本財団 図書館


■事業の内容

(1) 里山管理指導者の養成
 農業構造の変化や人出不足などにより、荒廃の著しい都市近郊の雑木林(=里山)を再生、整備、活用するための指導者を養成することを目的に、年3回の講座と年4回の研修を行った。
 [1] 受講者
   一般市民・自然保護団体・野外活動指導者・行政担当者等、のべ115名
 [2] 実施日時
  a.第1回講座(夏季) 平成10年 5月16日〜17日
  b.第2回講座(秋季) 平成10年11月14日〜15日
  c.第3回講座(冬季) 平成11年 2月 6日〜 7日
 [3] 実施場所
   大阪府豊能郡能勢町宿野「大阪府総合青少年野外活動センター」
 [4] 講師・指導員
   講師3名(延べ9名)、指導員15名(延べ45名)、特別指導員1名、事業事務局1名
 [5] 実施内容
  a.座学(里山の成立、里山の自然、管理計画と管理技術、平板測量、植生調査等)
  b.実習(植生調査、平板測量、林床整備、間伐、用材づくり、動力機器の扱い、自然観察路づくり、炭焼き実習等)
 [6] 成果広報用冊子の制作
  a.部 数  800部
  b.規 格  A5判、フルカラー、80ページ
  c.配布先  図書館博物館、自治体関連部署、関連NGO、その他(受講生、当会会員等)
(2) 里山・公園管理プロジェクト
「市民による(里山)公園の景観管理」
 市民の余暇活動のひとつとして地方自治体の管理する都市公園や自然公園の一部を管理計画に基づいて整備し、豊かな自然と市民に親しまれる公園づくりを行った。
 [1]実施方法
  a.機関誌、広報、案内冊子等で一般市民に呼び掛け、50名のプロジェクトチームを結成した。
  b.プロジェクトチームは1年間継続するものとし、公園管理者の指定する場所において景観維持、植生管理等の作業を行った。
  c.実施にあたっては専門家や里山管理指導員によって事前に講習を行い、目的と技術、安全などの徹底をはかった。
[2] 参加者
   一般市民、協会会員及び指導員等、延べ426名
 [3] 実施日時
   平成10年4月〜平成11年3月(8月を除き毎月1回)
 [4] 実施場所
   大阪府池田市「五月山緑地」および近隣管理地
 [5] 講師・指導員
   講師5名、指導員14名
 [6] 実施内容
   室内講義3回、野外講義2回、現地特別解説1回
(3) 稲作生態系保全プロジェクト
「休耕田を利用した水生昆虫のビオトープの創造に関する研究」
 中山間地の休耕田を利用して実験池を造成し、昆虫類を中心とする水生生物の種類や個体数の変化を継続的に調査し、今後のビオトープづくりの基礎データを集積することを目的に実施した。
 [1] 実施方法
  a.平成8年度に造成した実験池を維持し継続調査を行うとともに、新しく条件の異なる実験池を造成し、調査を行った。
  b.両実験池とも月2〜5回、水中及び水辺の生物の種類と個体数を調査した。
 [2] 実施者
  a.研究責任者  大阪府立大学農学部昆虫学教室          石井  実
  b.研究員        同上                 小林幸司、金田 猛
           (社) 大阪自然環境保全境界プロジェクトチーム  石井 栄他数名
 [3] 実施日時
   平成10年4月2日〜平成11年3月28日
 [4] 実施場所
   大阪府豊能町上光ヶ谷、能勢町山辺、その他
 [5] 成果広報用冊子の制作
  a.部 数  800部
  b.規 格  A4判、64ページ、オフセット印刷(カラー4ページ)
  c.配布先  図書館博物館、自治体関連部署、関連NGO、大学関連学部、その他(受講生、当会会員等)

■事業の成果

水田農耕とともに、わが国特有の気候風土のもとで成立した里山の維持・管理には多くの人手が必要である。しかし昨今農山村のライフスタイルの変化等から、その維持・管理は困難となり、市民ボランティア等による保全活動の実施が急務となっている。そこで、本事業では、「里山・田園景観の保全」「身近な生き物の保全」などのテーマに基づくプロジェクトを組織し、市民ボランティアのリーダーを養成し各地からの指導者派遣要請、市民の参加意識の高まりに応えた。

 よって、国内における自然環境保全事業に資するとともに、わが国の伝統的手法による環境保全技術を確立し、その普及・啓発に取り組むことにより21世紀を展望した新たな環境ネットワークづくりに寄与するものと思われる。





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