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■事業の内容

平成8年7月に提出された海運造船合理化審議会の意見書「今後の造船業及び舶用工業のあり方」は、我が国中小造船・舶用工業が地域経済への貢献、雇用機会の提供等の役割を引き続き担っていくためには地域の特性を生かした施策を推進していくことが必要であると指摘されている。我が国有数の造船・舶用工業の集積地域である中国地区においては、各種内航船、旅客船等の製造・修繕を通じ我が国の安定的な海上輸送の確保とともに、地場産業として地域経済の振興に寄与してきた。しかし前述の環境や経営基盤が脆弱なため、造船施設、設備の近代化、技術力の向上も難しく問題を抱えている。
 本事業は、中国地区の中小造船・舶用工業の担う役割を検証し、中小造船・舶用工業の基本的役割を探り、地域の特性を生かしたビジョンを策定のうえその具体的展開事例を示すことにより中国地区の中小造船・舶用工業の高度化・活性化・効率化に資することを目的とし実施した。
 なお、10年後を目標年次とした中国地区中小造船・舶用工業の地域ビジョンを策定し、中小造船・舶用工業の展望とあり方を示し、経営の安定化・効率化に資する調査研究を実施した。
(1) 中国地区における中小造船
  ・舶用工業の現状把握
   中国地区における中小造船・舶用工業の地域ビジョンを策定するためには、全国的な位置付け、地域経済における位置付けを把握したうえで検討する必要があるため、造船・舶用工業事業者に対するアンケート調査及びヒアリング調査を実施し、現状を把握するとともに問題点を整理した。
 [1] アンケート調査先
   造船事業者  83事業所
関連事業者  263事業所
 [2] ヒアリング調査先
   中国地区   尾道、木江、呉、玉野、美保関 5か所
   他 地 区  今治、佐伯 2か所
   造船事業者  12事業所 関連事業者 11事業所
 [3] 調査内容
  ・抱えている問題点
  ・技術開発・情報化
  ・他産業との関わり
  ・金融支援制度等の利用
  ・今後の事業方針
   社団法人中国地方総合研究センターに委託して実施
(2) 中国地区における中小造船・舶用工業への影響要因の把握
中国地区における中小造船・舶用工業の地域ビジョンを策定するためには、船主、荷主等の造船ニーズに対する変化、経済構造、社会構造等を的確に把握したうえで検討しなければならないため、船主、荷主に対するアンケート・ヒアリング調査を実施し、中国地区の中小造船・舶用工業をとりまく社会環境の変化について整理、分析を行った。
 [1] アンケート調査先
   船主  100事業所
   荷主   30事業所
 [2] ヒアリング調査
   日生、水島、福山、呉、倉橋、広島、徳山 7か所
   社団法人中国地方総合研究センターに委託して実施
(3) 地方公共団体との連携
特定産業集積の活性化に関する臨時措置法の施策に伴い、各県が計画する「基盤的技術産業集積の活性化に関する計画」に造船・舶用工業関連が基盤的技術産業として位置づけられるために積極的なアプローチが必要なことから、各自治体との連携を深め今後のあるべき姿について整理・分析した。
社団法人中国地方総合研究センターに委託して実施
(4) 中国地区における中小造船・舶用工業のビジョン策定
 [1]、[2]の検討結果及び[3]の連携を踏まえ、中国地区の中小造船・舶用工業の展望を行うとともに中小造船・舶用工業への社会的要請・役割を踏まえた中小造船・舶用工業のあるべき姿の設定を行い、将来的な課題について整理、分析を行った。
 社団法人中国地方総合研究センターに委託して実施
(5) 報告書の作成
 [1] 規 格  オフセットA4判
 [2] 部 数  300部
 [3] 配付先  造船関係者、地方自治体、関係官公庁、委員等
(6) 説明会の開催
 [1] 開催場所  広島
 [2] 開 催 日  11年3月10日
 [3] 講  師  委託先担当者
■事業の成果

わが国有数の造船・舶用工業の集積地域である中国地区においては、各種内航船、旅客船等の製造・修繕を通じわが国の安定的な海上輸送の確保とともに、地場産業として地域経済の振興に寄与して来た。しかし前述の環境や経営基盤が脆弱なため、造船施設、設備の近代化、技術力の向上も難しく問題点を抱えている。

 以上の問題を解決するため、中国地区の中小造船・舶用工業の担う役割を検証し、中小造船・舶用工業の基本的役割を探り、地域の特性を生かしたビジョンを策定のうえその具体的展開事例を示すことにより中国地区の中小造船・舶用工業の高度化・活性化・効率化に資することができた。





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