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■事業の内容

小型船造船業は、全般的にはこれまでの厳しい状況を脱しつつあるものの、未だ、過当競争による安値受注体質、経営管理の不徹底等の問題を克服するには至っていない。
 また、わが国国際漁業に対する操業規制の強化により、漁船の構造的な低迷状況が続くと見込まれており、小型船造船事業者の経営状態は極めて厳しいものとなっている。
 特に、急速に高まった規制緩和の動き等企業環境の激変による小型船舶の需要の減少に対応するため建造能力の削減を積極的に推し進める必要に迫られるに至った。
 このため、平成10年度終了予定の第4次構造改善計画を平成9年度で中断のうえ、小型船舶の建造設備の調整を中心とした第5次構造改善計画を平成10年度より3年計画により実施することとした。
 本年度は、設備調整計画のとりまとめ、労働災害事故防止、経営多角化促進等の事業に加え、需給調整の促進を図ることにより小型船造船業の健全化を図ることを目的に本事業を実施した。
(1) 構造改善実施報告書概要の作成
各地方小船工が作成した全体計画、平成10年度計画、平成10年度報告及び平成11年度計画をとりまとめた。
(2) 構造改善実施報告書の作成
構造改善計画に係る全体計画、平成10年度計画、平成10年度報告及び平成11年度計画を作成した。
(3) 経営多角化促進事業の実施
観光旅客船などの市場の拡充を促進し、企業の維持発展を図るため、関係市町村などに対する現地調査を次の地区にて実施した (新潟小船工に委託して実施) 。
長野(長野県):松本市役所・松本観光協会  平成10年10月19日〜20日
只見(福島県):只見町役場・金山町役場   平成10年10月21日〜22日
山形(山形県):山形県庁          平成10年11月 5日〜 6日
秋田(秋田県):秋田県庁          平成10年11月16日〜17日
群馬(群馬県):群馬県庁          平成11年 1月26日〜27日
新潟(新潟県):新潟市郷土資料館建設室   平成11年 2月 9日
調査員 事務局1名
(4) 労働災害事故防止活動の実施
全国造船安全衛生対策推進本部 (全船安) 活動を通じ、造船所からの労働災害事故防止を図るため、安全パトロール等を実施した (各地方小船工に委託して実施)。 網走外 31か所
(5) 事業承継講習会の開催
後継者の育成、後継者のための経営体制の確立、自社株についての相続対策等を中心とした講習会を開催した。
 [1] 実施場所  東京
 [2] 実 施 日  平成10年9月11日
 [3] 講  師  高畑省一郎氏
(6) 書面実態調査の実施
構造改善を円滑に促進するため、各地方小船工会員のうちの約400企業を対象に書面実態調査を行い報告書にとりまとめ関係機関に送付した。
 [1] 内容
  a.一般的事項
  b.生産高
  c.労務
  d.取引
  e.その他
 [2] 規 格  オフセットB5判 85頁
 [3] 部 数  250部
 [4] 送付先  各地方小船工及び地方運輸局等
(7) 委員会の開催
 [1] 近代化推進中央委員会
   構造改善計画に係る全般的事項について審議を行うとともに、近代化推進地方委員会に対する指導を行った。
  開 催 日  平成11年2月25日〜26日
  開催場所  25日 鉄鋼会館
26日 東京証券会館
  出 席 者  委員15名 関係者4名 事務局7名
 [2] 近代化促進地方委員会
   構造改善計画推進に係る諸問題の検討及び構造改善参加企業に対する個別指導並びに構造改善実施報告書の審議等を行った(各地方小船工に委託して実施)。
   函館外 58か所
 [3] 北部ブロック会議の開催
   零細な漁船造修業が中心の北海道、東北、新潟小船工地区造船業の活性化を図るため、経営の多角化、債権管理の改善等の課題について検討するため、実施した。
  開 催 日  平成10年9月24日
  開催場所  メルパルク仙台
  講  師  鈴木信太郎氏
  出 席 者  委員6名 オブザーバー等9名
■事業の成果

小型船舶の需要の低迷が続く中、省エネルギー、省力化等に配慮した近代化船の開発による船主ニーズへの対応、労働時間の短縮、福利厚生の充実等による人材流失の防止及び労働災害事故撲滅の徹底等による若年労働者の参入促進等を推進することにより、当業界の活性化を促進した。

 さらに、小型船舶造修工事量の減少分を補填するため、陸上工事を中心とした経営多角化促進事業の推進、原価管理・債権管理適正化の徹底及び公的中小企業施策の活用の促進等を積極的に実施した。

 本事業の実施により、受注工事量の減少及び受注単価の低迷に喘ぐ小型船造船業の維持発展及び企業体質の強化に資することができたと確信する。





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