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1998年(平成10年)

平成10年横審第45号
    件名
油送船光星丸貨物船ロードスター スピリット衝突事件

    事件区分
衝突事件
    言渡年月日
平成10年12月11日

    審判庁区分
地方海難審判庁
横浜地方海難審判庁

猪俣貞稔、勝又三郎、西村敏和
    理事官
西田克史

    受審人
A 職名:光星丸船長 海技免状:四級海伎士(航海)
    指定海難関係人

    損害
光星丸…右舷船首部及び同船尾部各外板に凹損ほか擦過傷
ロ号…左舷側中央部外板に破口ほか同部ハンドレールに曲損

    原因
光星丸…操船・操機(操舵状況の確認不十分)不適切

    主文
本件衝突は、運河内を航行中の光星丸が、操舵状況の確認が十分に行われず、係留着桟中のロードスター スピリットを避けなかったことによって発生したものである。
受審人Aを戒告する。
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成9年12月12日12時30分
京浜港川崎区大師運河内
2 船舶の要目
船種船名 油送船光星丸 貨物船ロードスター スピリット
総トン数 695.05トン 7,926トン
全長 61.90メートル 132.00メートル
機関の種類 ディーゼル機関 ディーゼル機関
出力 1,176キロワット 3,353キロワット
3 事実の経過
光星丸は、LPGタンカーで、A受審人ほか6人が乗り組み、空倉のまま、船首1.80メートル船尾3.80メートルの喫水をもって、平成9年12月10日12時00分徳山下松港を発し、京浜港川崎区に向かい、翌々12日07時40分伊豆大島北方沖合で操舵操船に当たったA受審人は、中ノ瀬航路を経て、12時10分ごろ東燃扇島シーバースの東方1,600メートルのところに至り、川崎航路の入航に備えて船首尾要員を配置に就け、スタンバイエンジンを令し、予定バースの同区大師運河奥にある旭化成桟橋に向かった。
12時16分A受審人は、川崎北防波堤灯台(以下「北灯台」という。)から107度(真方位、以下同じ。)1,720メートルの地点で、川崎航路に入り、針路を282度に定めて自動操舵とし、機関を港内全速力前進にかけ、10.0ノットの対地速力で進行し、同時19分半北灯台並航の手前580メートルのところで半速力とし、同時22分同灯台を右舷正横少し後方に見る地点で微速力にするなど暫時減速しながら続航した。
12時23分少し過ぎA受審人は、北灯台から255度320メートルの地点に達したとき、303度に針路を転じ、同時24分半機関を極微速力前進に落とし、手動操舵に切り替え、4.0ノットの対地速力で続航したところ、船舶電話のベルを聞いたので、右手で舵輪を持ち、左手で船橋後壁に設置してある電話の受話器をとって通話を始めた。
12時26分A受審人は、通話しながら、大師運河のほぼ中央線上に当たる、北灯台から283度720メートルの地点で、針路を同運河に沿うよう、徐々に右転を始め、同時28分船首が335度を向いたところで舵中央としたところ、日本石油ガス川崎ターミナル(以下「日石ターミナル」という。)に着桟していたロードスター スピリット(以下「ロ号」という。)を100メートルばかり隔てて航過する状況のもと、折から前路を先航している第三船が左転して着岸態勢に入ったので、同時29分右舵5度ばかりをとり、同船の右側に出てこれを避航することにした。
A受審人は、船舶電話で通話中、可航約約200メートルの同運河内で転舵を必要とする状況となったが、操舵に支障ないものと思い、一時通話を中断するなり、在橋している他の乗組員に通話を替わるなどすることなく、自ら代理店との通話に気を奪われて、針路を元に戻す動作を忘れ、船首を右に振りながらロ号に向かって進行中、12時30分少し前船首至近に同船の船側を認め、左舵一杯としたが、及ばず、12時30分北灯台から306度1,130メートルの地点において、355度を向いた光星丸の船首が、ほぼ原速力のまま、ロ号の左舷中央部に、後方から20度の角度で衝突した。
当時、天候は晴で風力2の北東風が吹き、潮候は上げ潮の中央期であった。
また、ロ号は、船尾船橋型のケミカルタンカーで、船長Bほか20人が乗り組み、千葉港でアクリルニトリル、アニリン、パラキシレン等約9,800トンを積載のうえ、パラキシレンを追い積みのため、船首8.00メートル船尾8.10メートルの喫水をもって、同日11時20分ごろ京浜港川崎区の日石ターミナルに入船右舷着けで係留し、12時15分積荷を開始した。
ロ号は、船首を335度に向けて積荷役中、前示のとおり衝突した。
衝突の結果、光星丸は右舷船首部及び同船尾部各外板に凹損ほか擦過傷を、ロ号は左舷側中央部外板に破口ほか同部ハンドレールに曲損をそれぞれ生じたが、のちいずれも修理された。

(原因)
本件衝突は、京浜港川崎区の大師運河内において、航行中の光星丸が、前路を先航している第三船を避けるために転舵した際、操舵状況の確認が十分に行われず、係留着桟中のロ号を避けなかったことによって発生したものである。

(受審人の所為)
A受審人は、京浜港川崎区の大師運河こおいて、同運河奥にある旭化成桟橋に向けて航行中、船舶電話が掛かり、通話しながら可航幅約200メートルの同運河内で先航している第三船を避けるために転舵する場合、一時通話を中断するなり、在橋している他の乗組員に通話を替わるなどして操舵状況の確認を十分に行うべき注意義務があった。しかしながら、同人は、操舵に支障ないものと思い、操舵状況の確認を十分に行わなかった職務上の過失により、代理店との通話に気を奪われて転舵したのち、元の針路に戻す動作を忘れたまま係留着桟中のロ号に向け進行して同船との衝突を招き、光星丸の右舷船首部及び同船船尾部各外板に凹損ほか擦過傷を、ロ号の左舷側中央部外板に破口ほか同部ハンドレールに曲損をそれぞれ生じさせるに至った。
以上のA受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。

よって主文のとおり裁決する。

参考図






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