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1998年(平成10年)

平成9年広審第59号
    件名
漁船明祐丸プレジャーボートゴッド衝突事件

    事件区分
衝突事件
    言渡年月日
平成10年7月24日

    審判庁区分
地方海難審判庁
広島地方海難審判庁

織戸孝治、杉?忠志、横須賀勇一
    理事官
向山裕則

    受審人
A 職名:明祐丸船長 海技免状:一級小型船舶操縦士
B 職名:ゴッド船長 海技免状:四級小型船舶操縦士
    指定海難関係人

    損害
明祐丸…船首部に擦過傷
ゴッド…左舷船首部に破口等

    原因
明祐丸…見張り不十分、船員の常務(避航動作)不遵守(主因)
ゴッド…船員の常務(衝突回避措置)不遵守(一因)

    主文
本件衝突は、明祐丸が、見張り不十分で、漂泊中のゴッドを避けなかったことによって発生したが、ゴッドが、衝突を避けるための措置をとらなかったことも一因をなすものである。
受審人Aを戒告する。
受審人Bを戒告する。
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成8年5月22日11時30分
愛媛県温泉郡二神島南方沖合
2 船舶の要目
船種船名 漁船明祐丸 プレジャーボートゴッド
総トン数 3.4トン
登録長 10.75メートル 6.27メートル
機関の種類 ディーゼル機関 電気点火機関
出力 62キロワツト
漁船法馬力数 70
3 事実の経過
明祐丸は、いか刺し網漁業に従事し、船体中央よりやや後部に操舵室を有するFRP製漁船で、A受審人ほか1人が乗り組み、操業の目的で、船首0.3メートル船尾0.4メートルの喫水をもって、平成8年5月22日11時00分愛媛県温泉郡中島町大字二神にある二神漁港を僚船とともに発し、同県二神島南方の漁場に向かった。
A受審人は、11時10分ごろ二神島南方0.7海里ばかりの漁場に着き、投網作業を行った後、漁場を移動することとし、同時28分半同島南方1.5海里ばかりの漁場に向かうため、小市島灯台から295度(真方位、以下同じ。)3,600メートルの地点で、針路を184.5度に定め、機関を全速力前進にかけ、折からの潮流の影響により左方に3.5度圧流されながら12.8ノットの対地速力で、舵輪後方の操舵用椅子に腰を掛けて手動操舵により発進した。
発進時A受審人は、ほぼ正船首600メートルのところに漂泊中のゴッドを視認し得る状況にあり、その後同船と方位の変化なく衝突のおそれのある態勢で接近していたが、僚船よりも早く漁場に到着して投網作業場所を確保したかったことから、右舷方の僚船の動向にばかり気を奪われ、船首方の見張り不十分で、ゴッドに気付かず、同船を避けないまま続航中、明祐丸は、11時30分小市島灯台から286度3,400メートルの地点において、同船の船首が、ゴッドの左舷船首部に原針路・原速力のまま、前方から56.5度の角度で衝突した。
当時、天候は晴で風はほとんどなく、潮候は上げ潮の末期で、衝突地点付近には流向085度・流速0.7ノットの潮流があった。
また、ゴッドは、船体ほぼ中央部にキャビンを有し、船外機1基を備え、汽笛を装備しないFRP製プレジャーボートで、B受審人が1人で乗り組み、釣仲間2名を乗船させ、いか釣りの目的で、船首尾0.5メートルの等喫水をもって、同日09時30分愛媛県北条港を発し、二神島南方沖合の釣場に向かった。
B受審人は、10時00分ごろ二神島南方沖合に着き、漂泊しながら釣りを始め、潮上りの後、11時00分小市島灯台から283度4,000メートルの地点で、機関を停止し、船首を東北東に向け、再び漂泊して釣りを再開した。
B受審人は、キャビン後方右舷側で釣りをしていたところ、11時25分左舷方600メートルばかりのところに、投網作業中の明祐丸を初認し、同時28分半同船が自船にほぼ向首して発進し、方位の変化なく衝突のおそれのある態勢で接近するのを認めたが、自船は漂泊しているので、そのうち相手船が自船に気付いて避航するものと思い、速やかに船外機を始動して衝突を避けるための措置をとることなく漂泊を続け、同時30分少し前ようやく衝突の危険を感じて、機関を始動して後進にかけるも及ばず、ゴッドは、前示のとおり衝突した。
衝突の結果、明祐丸は船首部に擦過傷を生じたのみであったが、ゴッドは左舷船首部に破口等を生じ、のち修理された。

(原因)
本件衝突は、二神島南方沖合において、漁場移動中の明祐丸が、見張り不十分で、前路で漂泊中のゴッドを避けなかったことによって発生したが、ゴッドが、衝突を避けるための措置をとらなかったことも一因をなすものである。

(受審人の所為)
A受審人は、二神島沖合を漁場移動のため南下する場合、前路で漂泊中のゴッドを見落とさないよう、船首方の見張りを十分に行うべき注意義務があった。しかるに、同人は、僚船よりも早く到着して好漁場を確保したかったことから、右舷方の僚船の動向にばかり気を奪われ、船首方の見張りを十分に行わなかった職務上の過失により、前路で漂泊中のゴッドに気付かず、同船を避けないまま進行して衝突を招き、ゴッドの左舷船首部に破口等及び明祐丸の船首部に擦過傷を生じさせるに至った。
以上のA受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。
B受審人は、二神島南方沖合において漂泊中、自船に向首して発進し、衝突するおそれのある態勢で接近する明祐丸を認めた場合、速やかに船外機を始動して衝突を避ける措置をとるべき注意義務があった。しかるに、同人は、自船が漂泊中であるから明祐丸が、そのうち避航するものと思い、速やかに船外機を始動して衝突を避ける措置をとらなかった職務上の過失により、明祐丸との衝突を招き、両船に前示の損傷を生じさせるに至った。
以上のB受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。

よって主文のとおり裁決する。

参考図






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