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この学術シンポジウムは、日本植物学会第62回大会が広島大学(東広島市)で開催されるのを機会に「宮島」に因んで企画されたものである。宮島は植物の宝庫であるが、宮島が世界遺産に指定されたこともあって、「島の植物」というテーマが設定された。他の島をも視野に入れて、島の植物の重要性について広く人々に知ってもらうとともに「島の植物の進化と絶滅の危機」について、地球レベルで討論した。

講演は次の4題であった。「宮島─金井塚 努」、「琉球列島─横田昌嗣」、「小笠原諸島─小野幹雄」、そして「ガラパゴス諸島─伊藤秀三」である。「宮島」では、ニホンザルの暮らしを通して宮島の森の豊かさを再認識した。「琉球列島」では琉球の植物を解説する一方、植物相の最も豊かな沖縄島での絶滅種や絶滅危惧種について警告された。そして、海洋島としての「小笠原諸島」では、隔離された条件下での種分化の実態が解説され、グローバルな視点から島の環境変化が論ぜられた。さらに、「ガラパゴス諸島」では自然の摂理の下に多くの特異な動植物の進化があったと解説された。これらの講演に先立って島の植物の研究の意義についての適切な導入「島の植物とその環境─関 太郎」があり、また総合討論では、「島の植物と共生─中野蔵登」という話題提供がなされ、幾つかの議論が展開された。

会場の中電ホール(広島市中区)には植物学会員をはじめ一般参加の方々が300人近く(登録者249人)参集し、本学術シンポジウムは極めて盛会であった。

 

 

 

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