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第3 あとがき

 

○関係機関訪問に当っては、現地大使館の運輸省出向書記官の手をわずらわし、地理的・経費的、またスケジュールや相手機関の都合等の観点から折衝し、スケジュールをセットしてもらうとともに、海外の海上保安業務調査委員会で検討した質問表を事前に相手機関に渡しておいてもらった後、訪問したが、いずれの機関も、必ずしもこれに添った回答ではなかった。

しかし、訪問した各機関とも大変熱心な対応をしてもらい、所期の目的は十分に達したものと思料いたします。

 

○フランスのSECMARを訪問し、海上保安庁の概要、調査のための来意を説明すると、担当官から、「フランスには海上保安庁や米国コーストガードのような組織は無く、また、その必要もない。」と話を切り出された時は驚いた。

しかし、話を聞いていくと、人命救助、海洋汚染防止という点では、海に関係ある機関を首相の名のもとに調整する機関としてSECMARが発足し、丁度3年目を迎えたということであり、当方が冒頭に示した海上保安庁パンフレットを指し、このようなものも未だ無いとの説明であった。

地方の実動部隊は、施設・運輸・住宅省の地方組織である CROSS に、国防省海軍から職員を迎え、そして長としては地方知事レベルの海軍管区長官が指揮官として配置されているという複雑な構成であるが、話を聞いていくうちに、調整を必要とする事案が発生した場合には、ただちに海軍管区長官が判断し、首相の名の下に調整すると聞き、我が国に今一つ足りない機能を見たようで、今後ともこの組織がうまく機能する姿を興味を持って見ていきたい感がした。

担当官の説明の中で、座礁船の引き卸し等必要な措置を船主等が4時間経っても講じない場合、海軍管区長官が船主等の負担で必要な措置を執るとの説明があったので、その根拠を質したところ、首相訓令であるとしてこれを入手した。SECMAR の位置付け、海洋汚染防除の仕組み、海軍管区長官の権能等がよく把握できるので、少しボリュームがあるが参考のためこれを添付した。

 

○イタリア港湾監督事務総司令部では大変な歓迎ぶりに驚いた。

同行の大使館書記官、通訳の人も、今までに何回もこのような調査訪問に同行して当総司令部を訪ねたことはあるが、組織をあげてのこのような歓迎、また担当官の対応というのは一度も経験したことがなかったということであった。

レナート・フエッラーロ長官が、20数年前、海上保安庁を訪問し好印象を得たという点が大きかったようである。

国際協力の推進事業として推進している近隣諸国からの海外研修員を受け入れての各種研修、笹川基金による海保大・海保校学生の短期海外留学等の必要性・有効性を身をもって実感したところである。

 

○終りに、現地において、公務ご多忙の中、大変お世話いただいた在フランス日本国大使館平田徹郎一等書記官及び在イタリア日本国大使館川勝敏弘一等書記官に心から感謝申し上げるとともに、調査の準備から全般にわたってお世話いただいた海上保安庁総務部国際課の皆様に深甚なる謝意を表する次第である。

 

 

 

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