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2] グローバル・アライアンス

船社間の大規模な提携であるグローバル・アライアンスの一般化はコンテナ・ターミナル・オペレーターの戦略にも大きな影響を与えている。グローバル・アライアンスの出現は、とりわけ非船社系コンテナ・ターミナル・オペレーターに対してビッグ・チャンスを与えるとともにリスクの拡大をももたらしている。というのも、グローバル・アライアンスに選択されたコンテナ・ターミナルは膨大な量のコンテナ貨物の処理を約束されるが、半面、アライアンスから逃げられたターミナルは以前よりも集荷が極端に困難になるからである。船社系のコンテナ・ターミナル・オペレーターは親会社である船社がアライアンスに属しているならば、そのアライアンスによる当該ターミナル・オペレーターの起用という形で収まりやすいのに対して、非船社系ターミナル・オペレーターの場合、そのような保証はない。したがって複数の船社によって構成されるグローバル・アライアンス全体のニーズに対応したサービスを行うために、船社の航路ネットワークに追随するだけでなく、船社の航路ネットワークを先取りする形で、潜在的なものをも含めて拠点港湾を押さえ、またそれらの間にターミナル・ネットワークを構築しつつある。

 

3) Multi-Port Terminals Corporationによる港湾間競争の変容

多国籍港湾ターミナル・オペレーターの出現は、港湾間競争を大きく変容させつつある。

第一に単にコンテナ港湾間の競争が激化するだけでなく、同一の港湾内部に存在するコンテナ・ターミナル間の競争をもいっそうシビアなものとする。

第二にコンテナ港湾とコンテナ・ターミナル・オペレーターとの間の利害関係のずれが潜在的あるいは顕在的に発生する。コンテナ・ターミナル・オペレーターの生き残り行動としてMulti-Port Terminals Corporation化が模索される中で、コンテナ港湾間競争は港湾という空間およびそこに定着している港湾管理者と移動可能なターミナル・オペレーターという少なくとも2つのレベルが錯綜する形で進展することとなる。

 

(2) 「官」による「水陸」両方の香港ネットワークの構築

今まで見てきたように、香港港をめぐる環境変化は香港港のコンテナ港湾機能の空洞化を招きかねない方向性を持っている。したがって香港特別行政区政府は港湾機能集積政策が必要となりつつある。

とりわけ中国復帰にともなう中国国内の都市・地域間競争への参加は、その他の中国内新興コンテナ港湾間のコンテナ港湾機能の争奪競争への香港港の直接的な参加をも意味している。そして中国内新興コンテナ港湾はそれぞれに北京中央政府あるいは各省・各市等の地方自治体政府による支援を受けて成長を始めている。したがって香港特別行政区政府にとっても都市・地域レヴェルでの対抗措置が必要とされるようになりつつある。基本的にはPMBの戦略は香港港をハブとした華南・華中コンテナ貨物の集荷システムの構築というものである。それは以下で示すように陸海両方で見られる。

 

 

 

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