財政悪化の中であらゆるインフラ整備を行うための立法であるが、港湾開発もその対象とされた。同法は必要なインフラを早期に建設することを目的としている。そのためのインセンティブとして、財政支援、課税上の優遇、プロジェクト実施手続き期間の短縮、投資への制限緩和、課金の減免、が規定されている。プロジェクトの運営期間は50年とされた。民間投資家の選定は、公開入札か対象者の中からの随意契約のいずれかとされた。
これに基づいて新港開発法が1996年に制定されている。これらの制度的後ろ盾と既に採用されてきたターミナルのリースおよび開発・運営権の売却が民間資金導入のフレームワークである。
2) 新港開発促進法
MOMAFに新港計画局が設立され、同局は1998年に港湾問題局に統合された。同局によって運用される新港開発促進法は、投資家へのインセンティブを保証することを目的としている。そのインセンティブとして、
・ 水路、防波堤、臨港道路などの基本的港湾インフラの建設権も政府と契約を締結した民間投資 家に付与すること、
・ 政府と契約を締結した民間投資家には新港区の公共財産を売却すること、
・ 残された港湾施設の利用料算定を単純化すること、
・ 政府が民間投資家に土地などの収用権を与えること、
・ 造成地売却代金の後払い、
・ 補助金・貸付によるプロジェクトの一部への資金供与、
・ 本体計画と無関係なものを含めての民間投資家への付随的プロジェクト許可、がある。
なお対象新港として指定されたのは、釜山、光陽ほか7港、合計9港である。
8. 経済学的にみた港湾料金政策
(1) 韓国における港運料金
現在のところ、子城台、神仙台、および牛岩の各コンテナターミナルの荷役料金は、労 働者雇用料、ストラドルキャリア利用料など、すべての要素が同一である。戡湾ターミナルに関しては、KECと特定契約を締結している4船社以外が入港した際に、全国均一に規制された港運料金が課されることになる。
基本的にはBCTOCなどのターミナル・オペレーター側に料金決定権はないが、MOMAFが決定しているのは枠組みであり、入港ターミナルを選択しようとしている船社に対して、ターミナルオペレーターは部分的な交渉は可能である。たとえばBCTOCの場合、フィーダー貨物の割引を裁量で行っている。