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(2) 韓国コンテナ埠頭公団の財政・会計制度

すべてのターミナルに共通して、政府か民間かのいずれが建設を行おうとも、施設は政府が所有しKCTAが無償で借受るという形態がとられている。KCTAの収入は国家の一般会計とは区分され、全額がKCTAの新たな投資に利用される。KCTAは既存ターミナルの取り替えのための減価償却費の積立を行っていない。このため設備の更新がスムーズに行われるかどうかが懸念される。この点についてはMOMAFおよびKCTAから、資産の大部分が埠頭・岸壁であるため、建築物など一般にいう取り替え問題は生じず、そもそも収益性の高い事業で大規模な資金プールを行っているので問題がない、との回答を得た。

さらにKCTA制度の政策評価として、韓国海洋水産開発院(KMI)から以下のコメントをえた。

・ 韓国においてはコンテナ・ターミナルの収益性は大きく、それらの中で資金プールが行われている以上、取り替え問題は深刻ではなく、KCTA設立時にもこの観点からの批判はなかった。

・ 日本と韓国とではネットワークの形成段階が異なっているが、KCTA制度には日本の港湾整備特別会計制度と比較しての特段の利点はない。

・ 問題点が内在するとすれば、全ターミナルが国有財産として一体に扱われ、光陽(後述)のケースように、管理上、特定のプロジェクトで異なった扱いを行いにくいことにある。

 

KCTAの所有する資産については上部構造と下部構造の両方について減価償却が行われ、減価償却期間は、荷役機械で15年、埠頭自体で40年である。しかし埠頭の耐用年数には、前述との関係から経済的意味はほとんどないとの説明を受けた。

KCTAが政府から無償で借受たターミナルにおいて、MOMAFが船社から直接に入港料の形式で使用料をとっている水域施設と泊地を除き、コンテナ・ヤード、荷役機械、コンテナ・フレイト・ステーション(CFS)などについて、国有のBCTOC、第三セクター1社、および他の民間会社が有償で借受、運営を行っている。このような上下分離構造においては、韓国のコンテナ・ターミナルの大部分を占めるKCTA借受ターミナルすべてにおいて共通しており、新設の光陽港についても同様である。

民間ターミナル・オペレーターは公開入札によって最も高い借受料を提示した者が選定される。なおMOMAFの規制によって港湾荷役料金は原則として全国同一のため、ターミナル・オペレーターの落札決定とは関係しない。

KCTAの総収入は、1997年度実績で860億ウォン、うちコンテナ・ターミナル賃貸料で770億ウォン、泊地使用料が90億ウォンであった。1998年度予算では、総収入は960億ウォン、内訳としてターミナル賃貸料860億ウォン、岸壁使用料100億ウォンとされている。

 

 

 

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