c. 各地方が独立の立場にある競争的環境下で、ターミナル・港湾管理者は他港の政策に懸念をもつべきであり、ロジスティクス・チェーンにおける荷主ニーズに対し、革新的でありかつ責任をもつべきである。
d. 公的資金制約とターミナルの専用性のために、民間企業体の役割が増大している。
また、港湾管理者レベルでの課題としては以下があるという。
a. ターミナルの専用性が高まる中で、港湾管理者は保安確保、EDI業務等、規模・範囲の経済の実現に集中すべきである。
b. キャパシティー計画には、港湾・ターミナル、とりわけ水路・土地造成事業への投資が固定化し、回収に長期を要するという問題がある。過剰能力の懸念があり、予測の過誤にある程度対応できる長期契約、長期コストにもとづいた価格設定が望ましい。
c. 港湾当局は競争を通じて成果に敏感になるが、少なくとも経営目標を設け、経営成果を明示する必要がある。
(3) 民営化・公社化等の政策選択肢
国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)の調査によると、各国の港湾の市場化、民営化は以下のように整理される。各国政府によって港湾に規定されている役割は、公益事業、戦略的インフラ、国家的資源、経済開発の触媒、営利的施設、のいずれかである。
各国政府が港湾に対して民間参加を促し市場化をはかっている目的は、以下のように分類できる。
a. 民間セクターが競争的環境下でコストを最小化し、サービスを改善する力を利用して、運営効率と生産性を改善する。
b. 民間セクターの資源を以て公共セクターを代替することによって、公共セクターの行財政負担を軽減する。
c. 民間オペレーターの支出と取扱量との関係を間接的なものにすることによって、政府の収入予測リスクを軽減し、増収と公共負担削減をはかる。また民間が、資金供与、建設運営、あるいは既存施設運営権の購入を行うことによって、政府は投資を他分野に振り向ける余裕ができる。
d. 再分配・経済格差是正という社会的目標の一環。
e. 民間セクター参加による政府支出の補完。
f. 既に貿易・輸送サービスに従事している民間業者参加を促進することによって、新規の追加的事業を促進する。(船社の港湾進出等)港湾利用者が投資家となることで、港湾利用が促進される。