日本財団 図書館


やがて地面が冷えてくると、降る雨が地面に溜まるようになり、遂に「原始の海洋」が誕生したのです。(約四十億年前)こうして出来た原始の海水は、その当時の大気から大量の炭酸ガスをハイスピードで吸収してしまい、そのため原始大気の温室効果が急激に減ったので、熱い地球は宇宙へ放熱して、どんどん冷えてゆき、地球の表面は千度を超える高温から僅か千度くらいで、百度近くまで下がりました。そして三十五億年前に、原始生命がバクテリアの形で海の中に誕生したのです。

さらに二十七億年前になると、海の中でゆっくり変化し進化した生物の一部が、陸上へあがってきました。今も陸上の動物の体液が、海水の組成によく似ているのは、生命の母体が海であることの証拠と言われています。こうして地球に生命を育んできた海は、その上を取り巻く大気と深く関わっています。生物にとって気温や湿度とか、酸素や二酸化炭素といった住み良い基本的環境をうまく保ち、安定した状態に調整する役割を、海はずうっと果たしていてくれるのです。(図B)

 

図(B)気候システムの概念

004-1.gif

 

産みの親の海を見直そう

 

宇宙から地球を見た初めての宇宙飛行士は、「地球は青かった」と言いました。地球の表面の約七十二%は海面ですから、海は宇宙から眺めても青いのです。しかし最近の海岸や港湾では、青いコバルトブルーの海の色は、茶や黄色に変わったり、ポリエチレンの袋や容器が漂ったり、海辺に散らかったりしていますし、更にタンカー事故や戦争による原油流出が、海洋の汚染に拍車をかけています。その他にも人が生活した結果の「様々な汚れ」が陸から海へ流れ込んでいますし、ときには放射能汚染までも加わります。果たしてこのまま放っておいてかまわないのでしょうか。今までは海岸や海の中及び海底には、色々な生物が住み、植物は光合成で酸素を含む現在の大気を造り上げ、一方では炭酸ガスの量などから適当な気温が保たれるなどの、地球自然システムが出来上がりました。

 

図(C)汚れの進んだ海域(太線で示す)

004-2.gif

 

しかし最近の海の汚れ方は特に酷く、動植物の生態にも沢山の変化が指摘されている事はすでによくご存知の通りです。自然システムの働きは、現代社会の日常生活の中では、目に見えない所でも休み無く作用しているので、重大なシステム異常に気がついた時には、もう手遅れということもあります。例えばフロンガスに関わる、大気オゾン層の破壊(層が極めて薄くなる)もその一例です。オゾン層の劣化に伴う海洋への影響は、まず悪玉紫外線が増えて、栄養プランクトンがやられて減少するため、稚魚が育たなくなり、ひいては海産物の減産に及んでゆきます。干潟や海を埋め立てて土地を造成したりする場合も、人間にとっては好ましいことでも、地球システムの一端としては、考え直す必要がある時代になってきております。(図C)

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION