【ネパール】 分類官職(官職公示職 官報非公示職)・クラス制度及びグループ・サブグループ制度
【シンガポール】 採用資格による分類・職務による分類(職群・等級)制度
【マレーシア】 ポストグループと職群制
【フィリピン】 官職分類(職群・職列・職級)制度
【インドネシア】 階級(RANK)制度と組織官職(ライン官職)・機能官職(専門職)制度
【タイ】 官職群・グループ・職種制度
【台湾】 類別・職組・職系・職務制度と職等・官等(特任・簡任・薦任・委任)制度
【ブルネイ】 職種・階級制度
【ミャンマー】 官報に掲載される公務員・官報に掲載されない公務員の区分及び職級(ジュニア・グレード、選抜グレード、部局長)制
【ラオス】 (官職分類制度は確立されていない。)人に基づく等級(rank in person)方式
以上みてきたように、公務員制度の「専門技術性」という根幹からみて、大部分の国はそれぞれその国としての特徴を持ちながら、公務員制度の基盤としての官職の分類制度は、体系的に出来上がっていると評価できる。これを元として任用給与等の制度に根をはり枝をはって全体として制度として確立し、その運用を通じて機能として完成したものとなっていくのである。
今回の調査研究報告書では、運用の側面が不明であるので、今後の検討を待たなければならないところである。制度とその運用について問題となっているのは、一般的にいって初年度の調査報告書の総論で指摘されている以下の点である。
(1) 国民との乖離(提供するサービスの改善、士気・倫理感の高揚の必要)
(2) 定員管理の不備
(3) 採用、昇進システムの欠如、機能不全
(4) 不十分な給与(モラール、能率の低下、汚職や腐敗、副業の横行につながる。)
(5) 政治の介入
これらの点のなかでも、(3) 採用、昇進システムの欠如、機能不全ということについては、「専門技術性」という観点からみて制度として機能していないので、近代公務員制度の根幹の一つが成立しないことになり、大問題である。アジア諸国の公務員制度を考える視点として「専門技術性」が欠かせない所以のものである。