2. その他の対応策〔第72・73表参照〕
上記以外に企業が考えている対応策としては、「部門の統廃合」(49.4%)、「女性社員の上位ポストヘの登用」(45.3%)、「短期雇用が可能な非常用者の雇用拡大」(41.9%)が挙げられる。「部門の統廃合」による対策は、約2社に1社の割合で手立てとして考えられている。本年度の当研究所の調査項目中、この3年間で「組織・人員体制のスリム化等」を行った企業割合は76.1%との回答を得、6年調査の時においても74.0%の企業がスリム化等を行ったと回答するなど過去において高い率で組織のスリム化がなされているにもかかわらず、まだ5割近い企業が「部門の統廃合」を考えているということは組織が相当肥大化しているものと思われる(団塊の世代の処遇に対する組織作りの影響のため)。
また、「女性社員の上位ポストヘの登用」により労働力を確保しようとする対策は、規模の大きい企業ほど率が高く(「5千人以上」58%、「千人未満」30%)なっている。1985年に「男女雇用機会均等法」が成立し、数次の改正により同法が強化されるとともに、平成11年4月からは労働基準法中の女子保護規定(女性に関する時間外・休日労働・深夜業)の規制が解消されるなど、女性の男女共同参画社会の実現が進められ、高学歴化を背景に就業意欲は今後も高まるものと思われる。少子・高齢化による労働力減少への対応は、労働力人口に占める女性の割合が4割を超えている実状をみても、また男女共同参画社会の実現という観点からも女性の労働力を活用することが今後重要性を増してくるものと思われ、既に大企業においてはこの点に目を向けた対応がなされている。
なお、「その他」としては、「中途採用の拡大」、「業務の見直しによる生産性の拡大」を挙げていたが、「少子・高齢化対策は今後の課題であり、現段階では特に対策は講じていない(講ずる予定がない)」という企業が2〜3社見受けられた。
VII 職場におけるメンタルヘルス対策
失業率が98年8〜10月には連続4.3%と史上最高になり、11月には4.4%とさらに上昇するなど、出口の見えぬ不況が続くなか、従業員の間でストレスによる心の病(うつ病、神経症)が目立ってきていると言われている。また終身雇用の崩壊、リストラや能力主義の導入など環境の激変もその遠因となっている、と見る向きもある。実際、本年度の当研究所の調査において、「雇用過剰である」とする企業割合は回答企業中7割を超え、「雇用調整を行う」企業割合も6割の数値を示している他、「年功的昇進管理から能力・業績主義を強く打ち出す」昇進制度への変更を行ったとする割合も9割を超えるなど、中高年を中心に心の病の引き金となり得る要素を充分にはらんだ調査結果を示しており、昨今の雇用面での構造改革による従業員のストレスに対する企業側のメンタルヘルス対策について調査してみた。