日本財団 図書館


(2) 今後の給与項目別の増減状況〔第2829表参照〕

景気の先行きに出口の見えない現状において、今後の方向を企業の担当者に尋ねても回答は慎重にならざるを得ない。現に昨年の同様な調査では、たとえば「賞与」について、今後「減少の方向」の回答は16.3%だったが、その1年後の今年の調査の結果は「減少した」が39.9%で予想を遥かに超えており、「所定外手当」についても昨年の今後「減少の方向」は26.3%であったが、過去1年間の結果を見ると「減少した」が43.3%の企業で回答があり、賞与と同様に現下の景況に対し企業は昨年調査時点での予測を相当上回るほどの人件費の切り詰めを行っている。しかし、279社から回答を得たので今後の方向についてみてみると次のようになる。

「基本給」については、ベアは未定としても昇給制度もあり、「増加の方向」が27.6%(昨年調査35.6%)、「減少の方向」が17.1%(同14.7%)でまだ増加の方が高いが、「おおむね変わらない方向」が55.3%(同49.7%)で昨年同様に回答としてはこれが一番高い率を示している。また「所定内手当」も変わらない方向が70.1%(昨年74.6%)でおおむね同水準で推移との回答が多い。これに対して、「所定外手当」、「賞与」は過去1年間の結果をそのまま引継いだ形でそれぞれ53.4%、45.6%の企業が「減少の方向」とみており、「増加の方向」とした企業は1割に満たない。規模、産業の別にみても大勢は変わらないが、規模「千人未満」の「所定外手当」の「減少の方向」の回答が7割あること、産業別では、同じく「所定外手当」の項目で「農林漁業、鉱業、建設業」の67%(同23%)、「卸売・小売業、飲食店」の64%(同33%)が「減少の方向」としている。また、「金融・保険業、不動産業」では「賞与」を「減少の方向」とした回答が56%(同32%)に及んでおり、この業種の現在置かれている立場がうかがわれる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION