集中し(つまり正社員より非常用雇用者が多い)、この業種の特異な雇用形態を示すものと言えよう。「製造業」では「パートタイマー」の「1〜5%未満」の欄に29.9%とかなり高い回答があった一方において、「派遣労働者」の同じ欄に36.8%もの回答があるのが目立つ。
以上の結果を回答社数の最も多い製造業(263社中145社)について、雇用形態別に正社員に対する構成比の平均値をモデル的に求めてみると第15表のようになった。すなわち、「パートタイマー」の「いる」企業では正社員を100としてその6.6%(昨年の場合は5.8%)に相当するパートタイマーがいることになる。例えば、正社員が1,000人の会社ではパートタイマー66人が雇用されていると見ていただければよい。なお、表の右側の数字は形態別の雇用者のいない企業も加えた構成比の平均値である。例えば「アルバイト」は8.8%であったのが1.9%へと大きく減っているがこれは「アルバイト」を雇用していない企業が70%以上もあるからで、逆に「派遣労働者」は3.4%から3.6%へと僅かながら増えている。全体としては「アルバイト」以外は昨年より構成比が上がっており、雇用形態の多様化が進む中で今後の推移が注目される。
(注)
1. 表の見方:それぞれの雇用形態別の雇用者がいる企業の平均を、右側は、これに形態別の雇用者のいない企業も加えたときの平均を示すものである。
例えば正社員が1,000人の会社に、パートタイマーと派遣労働者がいる場合は、それぞれの人数は66人、34人である。
2. ( )内の数字は、平成9年の調査結果を示す。
5. 新規学卒者の採用状況
平成9年4月からいわゆる就職協定が廃止され平成10年は2年目に入ったが、折からの不況の下、将来の固定費増につながる新卒者の採用を抑制する姿勢が強まり、就職戦線は完全な買い手市場で学生は就職活動に奔走したようであるが、平成10年秋になっても8割前後しか就職が決まっていないという厳しい状況である。現在の景気後退期にあっては雇用は抑制され、その抑制方法も退職・出向等による手だての他に採用者の減少という方策も考えられることから、企業に平成11年4月の採用見込みを聞いてみた。
(1) 平成11年4月の採用見込み数の対前年比較〔第16・17表参照〕
平成11年4月の新規学卒者の採用見込み数を前年より「増やす方向」と回答した企業は9.3%、前年の32.1%から大幅に減少した。これを事務系、技術系に分けてみても前者が7.0%(昨年調査23.1%)、後者が8.4%(同27.8%)と同じように大幅に減っている。その一方で「減らす方向」は44.5%(同17.2%)で激増し、事務・技術系別にみてもこの傾向は変わらない。また、採用見込み数は「おおむね変わらない」との回答も39.3%(同48.1%)で約10ポイント下がっている。更に、新規学卒者は「採用しない方向」とする企業は6.9%(同2.6%)にものぼっている。昨年の調査結果ではいくらか明るさの見える回答となっていたが、この数値から過去1年間の景気の落込みが予想外の大きさだったことがここにも現れている。