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II-2 化学的油防除資機材の性能調査

II-2-1 粉末油ゲル化剤のゲル化性能調査

昨年度は、油の粘度変化や散布量の変化に対する油処理剤の有効性や、高粘度油に対する油ゲル化剤の有効性について調査を実施したが、この中で高粘度油に対する油ゲル化剤の有効性については、ゲル化率が計測できない結果となっている。今年度は、油ゲル化剤のうち、ゲル化率の試験方法に工夫の余地があると考えられる粉末油ゲル化剤について、再度試験を実施し、有効性を再調査することとした。

 

1 試験方法

昨年度の調査では、粉末油ゲル化剤を油面に散布し、15分間静置して容器内の内容物を別の容器に移す際に、ゲル化した油が容器に設けたふるい(呼び寸法:1.7mm)の表層に目詰まりし、ゲル化していない油の通過を妨げる状況が観察されている。また、元の容器のガラス面にはゲル化していない油の付着する状況が観察されており、ゲル化していない油を別の容器に移すのに種々の困難さを伴うことが判明している。

このため、「粉末油ゲル化剤の型式承認試験基準」(平成7年11月30日海査第635号)による試験法では、ゲル化していない油分の抽出の操作として容器内の内容物を別の容器に移し替えることから、試験油の粘度が高い場合に種々の困難さが生じるものと考え、今年度は、ゲル化していない油分の抽出の操作を、試験油の移動を最小限とする次の方法によることとして、試験を実施した(図2-1-1参照)。

 

・ ふるい(海査第635号に規定された呼び寸法1.7mmのもの)に取っ手を付け、予め容器に沈めておく。

・ 海査第635号の1]及び2]の試験操作により、容器(容量500mlのもの)に海水500ml及び試験油5gを入れ、試験油が海水上層に拡散し、安定した状態となってから粉末油ゲル化剤を油面に均一に散布して、30分間静置する。

・ 静置後、予め沈めておいたふるいを水面より高い位置まで持ち上げ、30分間静置する。

・ 海査第635号の4]〜8]の試験操作に準じて残留油分を抽出する。

 

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図2-1-1 ゲル化していない油分の抽出操作

 

 

 

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