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第4章 アンケート調査集計結果

 

1. 集計結果の概要

 

(1) 人員数の推移

● 技術・工員数1.2%増

人員数を、調査回答企業564社を合計した総従業員数べ一スでみると、平成9年23,692人に対して平成10年7月の調査時点では23,990人と1.3%の微増となっている。

また、技術員・工員ベースでみても1.2%の微増であるが、地区別に眺めると九州地区が6.2%と増加しているのに対して他地区は現状維持もしくはわずかに減少している。

● 10年度下期は減少傾向か

日本の造船業は、平成8・9年に続いて平成10年にも1,000万トンを超える受注を確保したことで、当面の仕事量に問題はないものの、ウォン安を背景とした韓国の受注攻勢などの影響で、船価が著しく低落し、先行き懸念が強まったことから、この調査結果には表れていないが10年後半からは減少に転じている可能性が高い。

 

(2) 売上高・損益状況(平成8年度→9年度)

● 総売上高は微増、地域・規模でばらつき

平成9年度の総売上高は、平成8年度に比べ1.5%増と微増であるものの、集計区分別には大きなバラツキが見られる。

地区別にみると、九州地区の6%増加に対して中部・近畿地区は1.4%の売上減である。また、舶用比率別には、比率が高いほど増加の度合いが高い。

● 造船は売上増も採算悪化が続く

一方、造船売上と造船以外売上をみると、全体平均ではそれぞれ6.6%増、1.5%減と対照的である。

造船売上について集計区分別に細かくみると、「業態別・構内」(12.5%増)、「地区別・九州」(13.7%増)、「規模別・10人以下」(12.6%増)、「舶用比率別・75.1%以上」(10.5%増)の各層で売上の伸びが目立った。

ただ、損益面でみると損益が「好転」と回答した企業は40%「悪化」は56%で「悪化」が大幅に増えている。造船以外売上の減少を反映して舶用比率の低い企業ほど悪化が著しいが、全体的にみても前年調査と比較して悪化が目立っており、採算悪化に歯止めがかからない厳しい経営状況が続いている。

 

 

 

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