この所要概算時間の一船分集計が、型・定規の作成予算となる。
生産性の向上は、時数(価格)/部品の減少、予算絶対値の削減として結果する。
実際の個人別スケジュールでは、現図同一場所での作業集中を避け、各人の技倆特性を加味して、実行計画にする。
[個人割当て時間]=[所要概算時間]×[個人能力係数]
この能力係数は、平均値を1.00となるよう、各個人実績から割り出し、定期的に評価して更新する。相対値であることに留意。
数値現図では、時数/部品および能力係数のばらつきが少なく、場所の集中の問題もなく、日程管理も容易となる。
6.5 延尺
手作業現図でも、鋳物尺に倣って、基準FS(フレーム・スペース)定規に縮み代を加味し、すべての型定規の船長方向に反映させたことはあった。だが対象は、全校肋骨構造の船に限られた。
数値現図になって、この考えを複活させたのが「延尺」である。最後に、その実際を簡単に紹介しておこう。
具体的な縮み量の数値は、板厚×溶接種別により異なり、それぞれの造船所の工作法に応じて求めるべきものである。
[図6.5.1 皮板の延尺]
縦横骨や板継の溶接線各種当たりの縮み量:伸び率を、正規の縦横寸法に積算するのである。
図示寸法の(括弧)内が、その延尺:追寸法。括弧ナシは、正規:区間寸法である。
また○で囲んだ+αは端伸しである。
[図6.5.2 内構ウェブの延尺]
傾いた図例のようなウェブの場合は、左下の三角形と考えて、延尺の基点と方向点を定める。これにより基準軸が決まる。
基準軸に対して傾く溶接線は、縦横成分に分けて、延尺を掛けるようにする。結果、ウェブは、縦横に変形した型として作画される。