比較的浅いウェブに深いスロットを切り開けてしまうと、
1)切断熱でウェブが平面的に変形する
2)切り出したウェブが弱く、吊り上げ運搬時に空間的に変形する恐れがある。これらの変形を防止するために、スロットの一部を「橋」状に切り残すことがある。「ブリッジ」の語源である。このブリッジは、小組立でウェブがFc.PLと組付けられて強くなった時点で、切り捨てられる。
この場合も、ブリッジなど残さず、
1)の平面変形に対しては切断完了後に補正、
2)の立体変形は、起こらないように吊り治具を用いてパレットに載せる…など配慮する方法もある。
このような補強ブリッジの要否判断は、現図工程では明確にしがたく、所要後工程からの図面事前検討に基づく、都度の具体的要請に委ねるのがよい。
なお、ブリッジの用語は、切断の中断、つまり部材を…ではなく、切断線の一部を切残す方法にも拡張されている。この意味の方は、NC切断でトーチ保護のため開孔を切り離さない時などに使われる。この問題には、本書では範囲外として立ち入らない。
もう一つの切残しは、タブである。板継溶接の始終点は定常条件にないので、取り除くのがプラクティスとされる。その取り除き部を指す。
1)ユニオンメルトに代表されるような自動溶接の適用では、一定量の始終点の延長は不可欠の条件である。このため[図2.1.12 板継自動溶接のタプ]に示すように、
●タブピース取付:-
別途に溶接専用の補助金物を準備しておき、始終点に取付
●荒切端タブ兼用:-
部材端が荒切で、伸し寸法内に所要タブ長が収まれば、更なるタブは不要