【基準】
第8条 粉じん作業管理
1. 粉じん作業管理一般
事業者は、作業時に発生する粉じんの飛散を防ぐための作業環境の整備、及び従業員の粉じんの暴露を少なくするため作業手順や作業方法の改善を実施しなければならない。
【解説】
第8条 粉じん作業管理
1. 粉じん作業管理一般
粉じん則は、“粉じんにさらされる労働者の健康障害を防止すること”を主目的として設備、作業工程、又は作業方法の改善、作業環境の整備等の必要な措置を講ずることを定めている。
粉じん作業とは粉じんが発生する環境で行う作業で、その作業が積算して1日に1時間以上行われる作業を指す。従業員をこれ等の粉じんから守るために、この粉じん作業は粉じん則の規制を受ける。また、作業の方法等によってじん肺法の規制を受けることがある。
FRP造船所で行われる前述の4種類の粉じん作業のうち、粉じん則で規制される作業は、FRPサンディング作業、トリミング作業及びガラス繊維裁断作業である。
FRP船は、部材の成形・組立の繰返しによって工事を進める大形の成形物である。この工程でサンディング、トリミング、孔あけ及び木工工事等の作業があり、この作業時に発生する粉じんは、FRP粉じん、ガラス繊維粉じん、樹脂粉じん、木材粉じんの4種類に分けられる。
(1) FRP粉じん
積層船体及び部品のサンディング又は切断作業時等に発生し、樹脂分60〜70%、ガラス繊維分30〜40%の組成が一般的である。
サンディング作業には、目の粗いサンダーを使用することによって粒径を大きくして、生源によりダクト等を用いて飛散を防止する。また、粒径を大きくすることによって、肺への吸込を少しでも抑制することができる。FRP造船所で16番サンドペーパー使用のサンディング作業時に粉じんの粒度分布を計測した結果は、約95%が5μ以上の粒径のものであったとの報告例もある。
(2) ガラス繊維粉じん
ガラス繊維基材の裁断、運搬及び展開等の作業時に発生するガラス繊維の小破片であるRP造船所で一般的に使用されているガラス繊維基材の繊維径は9〜17μである。したがって、繊維径(9μ)以下のガラス繊維粉じんの発生はないと考えられている。
(3) 樹脂粉じん
成形型制作時の表面仕上げ工程等の作業の場合に発生する粉じんである。
(4) 木材粉じん
木製めす型製作時、艤装作業時ののこぎり切断時等に発生する粉じんで、FRP造船所においてFRP粉じんに次いで多く発生する。