1999年1月22日日経:タイの98年のセメント生産は内需不振で前年を下回り、約3,000万トンを切った模様。タイの98年1─9月のセメン輸出は691万トン。ヴィエトナム、ミャンマーなど周辺諸国のほか、遠隔地にも積極的に展開し、アフリカに123万トン輸出。設備維持のため全生産量の1/3を輸出に回したと見られる。タイ最大のサイアム・セメントは昨年1億4,200万バーツを投じて輸送船の大型化などを可能にする輸出装置を導入。昨年末に仏セメント・フランセーズに買収された5位のジャラプラタン・セメントはリストラで価格競争力を高め、欧州資本の世界戦略に組み込まれる形で輸出を強化。日本のセメント生産量は年間9,000万トン台で推移。輸出比率は1、2割と国内需要の低迷時に輸出でカバーする体制。それでも「最も有望な海外商圏:東南アシア」(日本のシェアーは僅かに1.8%)で欧米勢に出遅れている模様。日本を含めた東アジア地域では現在需給ギャップが1億トンを超えるといわれる。今後フィリピン、インドネシアなどのメーカーも輸出ドライブをかける可能性があり、輸出を設備稼働率維持の安全弁とするやり方は限界にきたと見られる。我が国国内の需給ギャップは不況の長期化で97年比320万トン増えて2,060万トンまで拡大する見通し。98年10月に太平洋セメントと宇部三菱セメントがそろって発足。住友大坂セメントを加えた上位3社の国内シェアは80%を超えた。設備廃棄など本格的なリストラはこれからであり、今は殆どない輸入品との競合に晒される懸念も指摘。