第二章各論
II. EDI化実現のための考察
1. 技術的側面からの考察
1.1 貿易金融EDI化の技術要件
企業間情報交換を電子化するに当たっての技術要件は、1]効率的なネットワーク、2]標準化されたビジネス・プロトコル、3]取引情報の安全性確保である。
ネットワークについては、従来、EDIはVANサービス業者のネットワークとメール・ボックスを利用する事が常識であった。しかし、そのインフラである物理通信網の多様化と、インターネットの普及で、EDIの基盤ネットワークは大きく変革されつつある。
その目指すところは、何時でも、誰でも、何処からでも、そして安価に高速に情報を伝達する事であり、それは実現の方向にある。
ビジネス・プロトコルの標準化については、国連が指導するUN/EDIFACTの利用が進みつつあり、少なくとも貿易関連の大手企業においては、その導入なしではビジネスに支障を来たすまでになってきた。更には、インターネットのWEB技術を最大限に活用できるXML/EDIの標準化活動も始められ、遠からず、中小企業も含めたシームレスな電子商取引が実現されるものと思われる。
さて、当報告書のテーマである流通性書類等貿易金融EDI化に関して考察すれば、次に挙げる特異性において、取引情報の安全性確保が最も重要な課題であると思われる。流通性書類、特に船荷証券(B/L)について見てみると、それが使用される取引において、次の安全性要件が満たされる必要がある。
・ B/L所有者の確定ができる事。
・ B/L発行者またはB/L譲渡人の本人確認ができる事。
・ B/L内容の真証性が保証される事。
・ B/Lの唯一性が保証される事。
更には、銀行による船荷書類の買取プロセスにおいては、B/Lはその関連文書(インボイス、積荷明細、保険証券など)とともに使用され、B/Lとその裏付け書類との関係付けも保証されなければならない。